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2008(Fri) 10/17

海外記3-5 … ボスの依頼(41)

海外滞在記 … Comments(41)

 さて

 昨日の早朝ブログを書いてたら、突然ドアのノックの音がコンコンと鳴った。

 だ…誰だ?

 こんな朝早く。

 いや。もちろん後輩や先輩なら問題はないんだが、万が一という事もある。

 万が一ヤバイ奴だったら…



 !?
 
 ああ。そうか。ドア越しに「どなたですか?」って聞けば良いんだ。

 早速実行。



財前「WHO IS…」

通訳「あ。私 です。」

財前「!? なんだ通訳か」

通訳「あ。開けて貰って良いですか?」

財前「うん」

通訳「ああ。財前君。電話がかかってるんだよ。はい。」

財前「電話? 誰から?」



 電話? おかしい。 そもそもアメリカに居る間にも日本からメールは数十通は来ている。もちろんすべて処理済み。つまり日本の仕事への対応は終わっているのだ。

 今更用のある奴なんているわけがない。




通訳「本部長からだよ」

財前「本部長? そりゃ…ロクな事じゃないな。どうせ…お土産がどうとかいう話だろ?」

通訳「さぁ…」

財前「見ての通り俺は忙しい。今手が離せないと答えろ」

通訳「忙しいの?」

財前「見りゃわかるだろ。気が散るから君の方で対応してくれ」

通訳「パソコンで何してるの?」

財前「戦略会議資料をまとめてるんだ」  (ブログ執筆です(*ノωノ) )

通訳「なるほど… じゃあちょっとまってね。 え~と本部長…」





…しばし通訳が対応







通訳「なんかさ。どうしても話したいらしいよ」

財前「仕事の話か?」

通訳「え? あ~ …本部長?」






 …



通訳「違うって言ってる」

財前「じゃあ要件はメールで送れと言ってくれ」

通訳「自分で言ってよ;;」


 そういって通訳は私に携帯電話を渡そうとしたが… これは出るわけにはいかない。

 まず海外と日本との交信はメールで簡単行えるからだ。メールがあればすべての仕事が可能。電話などまったく必要性がない。金がかかるだけ。

 そういうのを教えないといけないのだ。年配の連中にも。

 







通訳「メールは面倒だって」

財前「何が面倒なんだよw  まあいいや。 じゃあ何の用か聞いてみて」

通訳「なんでいちいちボクを通すんだよ;; 直接話せば…」

財前「今忙しいんだ」

通訳「それはわかるけど」

財前「いいから何の用だって…聞けよ」

通訳「あ…ああ。 本部長。 財前が「何か用か?」と言っています」

財前「!? ちょ…」

通訳「ええ。財前は目の前に居ますよ」

財前「おまえ本部長に向かって何いってんだよw」

通訳「え?」

財前「アホか;; 直接そんな事言うんじゃない。」 

通訳「あ。ゴメン」

財前「いろいろ聞き方があるだろうが!! 財前は寝てるので私が代わりに用件を聞いておきましょうか? とか 財前は今手が離せないようです。用件は私の方で聞いておきますよ とかさ~」

通訳「そんなこと言ったって…」

財前「おまえまさか… 外人に対する通訳もそんな風に直訳してるんじゃないだろうな」

通訳「え?それはないよ;;」

財前「それは安心した」

通訳「とにかく代わってよ;;」

財前「しょうがないな…」




















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財前「代わりました」

本部長「おう。なんだ?忙しいのか」

財前「いえいえ」

本部長「ん? 何か用があるんじゃなかったのか?」

財前「そんなことないですよ」

本部長「そうか。通訳の話では忙しそうだったんだが」

財前「彼も寝ぼけてるんでしょう。今早朝ですし」

本部長「なんだそうか。ちょっと頼みがある。聞け」

財前「はい」

本部長「そっちでな?犬につける発信器が売ってるはずなんだ」

財前「発信器…でございますか」

本部長「そうそう。それ買ってきてくれ」

財前「…」

本部長「黄色い色してる発信器でな? 形はこう10㎝くらいで光が… かくかくしかじか」



 このオヤジ… 何言ってるんだろう。 そんな説明でわかるわけないんだが…





財前「申し訳ありませんが…どこに売っているのかわかりません」

本部長「商品画像はネットで見てくれないか」

財前「ええ!? ネットにあるんですか!?」

本部長「ある。え~とな。アドレスを言うぞ。 えいちティーティーピーのな。え~と点が2つ縦についてスラッシュスラッシュで、エ~ビーエイチ… キィー」

財前「htt://abh … キィー?」

本部長「チィー…」

財前「あの… Tですか?Bですか?それともC?」

本部長「キィーだ」

財前「C?」

本部長「B?」

財前「…」



 糞長いアドレスを電話で言うとか… キレるんだが…

 それに滑舌もハッキリしない上に海外電話だから聞き取れん…



財前「あの…本部長。メールで送ってくれませんか?そのアドレス」

本部長「どうやって?」

財前「ど…どうやって…」














財前「わ…わかりました。それは何という名前の商品ですか? 検索してみましょう」

本部長「おお。そうか。」

財前「ああ…こういう奴ですか。なるほど…」

本部長「早いな。もうわかったのか?」

財前「これは国内販売用なので本部長の言ってる商品ではありませんが…」

本部長「ほう…」





 ここまでは買って帰ってやってもいいかなと思った私…


 しかし次の瞬間とんでもない光景を目にしてしまうのである。


 犬につける発信器とか

 老人が愛犬のために考えるショボイおもちゃだろ。

 
 とか思っていたのだが













 なんと…















 これ…


























 






 12万円もするのだ!!

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 バカかこのオヤジ。

 12万円もするものを買ってこいと? 

 バカな。リスクが高すぎる。買って帰って「これ違うよ~金払えない」なんて言われたら、役職上で下の私は引き下がらざるを得ない。

 12万円を失い、さらにはまったく不要であろうと思われる糞発信器というかゴミが手元に残る。

 あり得ない。

 まったくもってあり得ない。

 ここは…


 逃げるのが吉。


 クックック…  通訳くん。


 これはお・ま・え・の仕事。






 

財前「あの…本部長…。後は通訳に言ってください」

本部長「ん?」

財前「こういう機械は通訳が詳しかったはずです」

本部長「ああ。通訳にも言ったぞ」

財前「は…?」

本部長「そうしたら、そういう機械は財前の方が詳しいから って言われてな」

財前「…」



 な…なんだと!?  じゃあ…

 この糞面倒な電話から何から何まで…






































 貴様の仕業か!! 通訳!!


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http://www.joeydevilla.com/











 とりあえず「売ってれば買って帰る」と返答し本部長の電話を切断。
 
 のんきにジュース飲んで電話終わるのを待ってる糞野郎を問い詰めようとしたが…

 やめた。

 …
 
 もはや後の祭り。

 今回の場合、先に本部長が私に電話してきて通訳に回したならまだしも、通訳から私に回ってきている。

 つまり本部長の脳は





 通訳  財前





 こうなっており通訳の線はもう消えてる。

 つまり

 買って帰らなかった場合、どっちかというと私の悪いイメージが本部長には残るだろう。

 では買うとしよう。で、これを通訳に買わせるのはどうか。

 立場上はできるかもしれない。

 だが実は通訳に買わせてもまずい。

 私に頼んだというイメージが本部長の脳に残っている以上、通訳がその発信器を日本で本部長に渡した場合、「アイツ…ワシの頼みが嫌だったのか。通訳に面倒をおしつけたな?」

 となり

 …またまた私のイメージが悪くなるのだ。


 新入社員に押しつけるわけにもいかない。こんなことをすると新入社員の私に対する信頼を損ねるどころか、そんなことを新入社員に押しつけたという噂が立てば

 12万円以上のものを失う。


 



 つまりこれは何をしても

 もはや無理。
 
 そう考えるのが妥当なのである。


 まさに考え抜かれた巧妙な逃げの一手。




 私はハメラレタのだ。



 

 思えば通訳しか海外に通じる携帯を持ってないわけだから、本部長としてもまず奴にいうのがセオリーというもの。そこから私に…なんて事は本来あり得ないことを考えると

 あのドアをノックして入ってきてから、いろいろ取ってきた奴の不自然な行動もすべて

 計算ずくという訳か。










 なんという孔明(笑)











財前「ぐ… 貴様…はかったな!!

通訳「フフフ。 ごめんね」

財前「ゴメンじゃねえよw」

通訳「ボク結婚してるから12万円なんてお金使うわけにはいかないんだよ;;」

財前「渡せば返して貰えるだろ。本部長に!」

通訳「違うモノ買って帰ったら払って貰えないかもしれないでしょう」

財前「まあな…」





財前「しかし見事な作戦だ」

通訳「?」

財前「おまえやっぱ頭いいな」

通訳「そんなことないよ」

財前「でもなんで新入社員に押しつけなかったんだよ…」

通訳「この場合は財前君に押しつけるのが色々な意味でベストかなと^^;」

財前「どこがベストだ…」

通訳「まあ仲が良いのが財前君だけというのもあるけどw」

財前「金は俺が払うけど発信器はおまえが持って帰れよ。税関で「これなんだ」なんて言われても困るからな」

通訳「オーケーw」











 まあ前回のヨーロッパ出張の通訳と同じ奴なんだけど

 この通訳。やはりただ者じゃないな(笑)。

 まあこんな仕事は世渡り上手じゃないとやっていけないのだろう。

 将来職業で
 
 通訳になりたい。 通訳を目指す

 なんて人は頑張ってね。 



 そりゃ会社が同じ私が買って帰るのが当然。でも頼み方ってものがあってね。後で通訳に直接言われても誰もOKしなかったろう。

 この場合本部長からの電話があった時点で、その電話を切らずに私の部屋に来て本部長と私を話させたという点がポイント。

 そしてこれを早朝にも関わらず実行に移せたということが

 奴の凄いところなんですね。




 
















 
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