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2008(Wed) 10/15
海外記3-3 … 世界的有数企業の…副社長(53)
今こうして海外出張に来ている私だが
なぜ来ているのかということを今日は説明しなければ話が繋がらないので一応しておく。
うちの会社は徳島に本社があって、あとは支店が全国にちょこちょこあるだけの…しょうもない農業畜産系の中小企業なのだが、農業畜産分野というのは世界共通の機械や施設を使ったりするのは意外と知られていない。
まあ簡単に言うとPCやテレビもそう。そして日本は車や精密機械については世界で見ても強いのだが、残念ながらトラクターやら動物舎やらそういう関係のものはあまり進化してない。
もちろんこれは農業を誰もやるやつがいないからなんだけどね。
今はマジで老人しかやってない。てことは機械を買うなんて発想はでない。そりゃそうである。60歳の人が30年ローンでトラクターなどを買うだろうか?
買うわけがない。
それに欲もない。このような方々日本の貧しい時代を経験しているので… そんなに儲けようともしない。要は食えて生活ができればそれでいいのである。現時点で充分贅沢だと思ってる人は多い。
こんな方々が日本人の食生活を支えている。
こんな方々が作った飯を食いながら、若者は「あ~金になる仕事ねえかなあ」「は?農業?ダセエw誰がするんだよ。そんなキツイ仕事」「あ~暇だぜ。コンビニでも行かね?」
ていう感じでいるわけだ。
近い将来どういう食糧問題が起こるかも知らずに…。
「日本は大丈夫」なんて甘く思ってる人が恐らく8割以上だとは思うが
これは日本の中でいるからそう思うだけで
外国では誰もそんな事を思ってない。
まあこれ…突き詰めるとかなり凄い事を書けるんだが… そこまで書く必要はないのでここで止めておく。
こういう土壌では農業機械産業もそんなに伸びないのは周知の事実。
となると良い物を買おうとなるとどうしても外国の企業のものになるわけである。
そう…。そもそもの食料だけでなく、その食料を作る機械すら
外国産なのである。今は。
そのうち労働力も外国人に頼るようになるかもしれない。
まあしかし機械に関しては心配することはない。日本企業が本気を出せば車と同じくね。すぐにコピーしてもっと良いものを作っちゃうとは思うけどね…。 今は採算が合わないからそうしてないだけだ。
で、、そんなこんなで(後は想像してくれ)外国企業とうちの会社は色々な意味でつきあいがあったりしたわけだけども、外国企業というのはよく買収されたり、吸収合併されたりするわけだ。
例えば
私の会社がAという会社とパートナー関係にあったとしよう。
規模は同じくらい。
しかしだ。
Aという会社が大手企業のBに買収されたとしよう。
するとAはBになりいきなり巨大企業になる。
つまり規模的に同じだった私の会社とAという会社は
いきなり
こういうことになるわけだ。

もっとわかりやすく説明するとこうだ。
AくんとBくんがいました。彼らは親友でした。ずっと友達です。
BくんはCくんに出会いました。CくんはバンドのボーカルだったのでB君をバンドに誘いました。
その後BくんとCくんのバンドはデビューしました。CDは2000万枚売れました。
でもAくんとBくんの友情は変わりません。今でも親友です。
おわかりだろうか。AくんとBくんの友達関係は何も変わらないがBくんを取り巻く環境は多大に変化する。なにせBくんは有名人になったので日本中で知らない者はいないのだから。
反面Aくんは何も変わってない。
同じだ。
だが、Bくんが有名になったことで何かしらの恩恵はあるかもしれない。
…というわけだ。
つまり私の会社も海外に4~5社の取引先があって有効契約みたいなのを結んであるわけだが、突然その会社が大手に吸収されてしまい、今やパートナーは
メチャクチャ大手ばかりになってしまってるのだ(笑)。
わかるだろうか。
つまりこれは私の会社が大きいとか対等に見られてるとかそういう事じゃなくて、相手が勝手に巨大になっただけなのである。
でも有名になる前からのつきあいがあるので、ずっと大事にしてくれるわけだ。
友達でもそうだろ?
有名になったらそりゃあどんどん新しい友達はできるさ。
でもきっと… 心の底から信頼できる友達は…有名になる前の友達だったりするわけだ。
つまり昔なら社長が一人で海外にいってね。田舎のその会社訪問してコーヒーでも飲みながらね。あ~だこ~だとペチャクチャ作業着で夢をだべってればよかった交渉事も
相手が大手になっちゃったもんだから都会のど真ん中のビルに行かなきゃならなくなり。口約束程度で済んだ事項も何枚もの契約書を書かなきゃならなくなる。そして当然のごとく社長ひとりで「お~う。ひさしぶりやな」なんて訪問するわけにはいかない(笑)。
そりゃあこっちも品質管理の担当とか技術担当とか連れて行かなきゃ格好にならないわけよ。
とまあそういうわけだ。
ここで今日の題目の副社長という事に繋がる。
まあ…だいたい予想はできるだろうけど…
これがね…。とんでもないお方だったんですよ。
いやね?
いつものように取引先に行ってたわけですよ。今日。それで仕事して食事に行ったわけです。
するとですね。外人がなにやら騒がしくなったんですよ。
そっち見ると
なんか変なメガネかけた人が歩いてきて
「ハロー」なんていうわけですよ。
そしたら取引先の外人達は一向に立ち上がって握手してるんです。
私も「は?誰?このメガネ。芸能人か何かか?」ってなったんですね… こんな感じで
財前「なんだ?あのメガネ。やけに人気だね。おい通訳。何者か聞いてみて」
通訳「うちとは関係ないですよ。多分取引先のお客様か何かでしょう」
財前「ああ。なんだ。お客さんか」
…
通訳「うん?」
ジョン「ペラペラ ペラペラ」
通訳「!?」
ジョン「ペラペ~ラペラペラ」
通訳「ざ…財前さん」
財前「ん?」
通訳「この人… T社の副社長らしいですよ」
…
なんとこのメガネ。超巨大企業Tの副社長だった!!
その瞬間私は直立不動。
舐めちゃ駄目だ。
私の取引先の会社のB社は前からつきあいのある、その辺の企業だからいいんだが、ここの親会社?に当たるT社というのは…
いや。私も実際に行ったことはないのだが、世界有数の企業。ニューヨークに本社があって、年商4000億突破してて…世界中に支店があって、社員が世界に30万人以上いるという… 正直うちの会社なんてデコピンされただけで消滅するような会社なのである。
そこの副社長…
つまりNO2だ。
いいか? 30万人分の2の男。
恐るべき人だぞ…これは…。
次の瞬間私の脳は変わった。
それまではタダのメガネ野郎に見えたその人間
今や私にとって
ラオウ様である。

まさに世紀末覇者。
親会社のT社…。噂には聞いていたが…。
その副社長がまさかこんな田舎猿の集団に会いに来てくれるとは…。
いくら私たちが日本の代理店として商品を日本で売っているからとはいえ
出てくるような存在ではないはずだ。
私たちのパートナーの取引先の社長でさえ、親会社のT社の上層部とは会ったことがなく
「親会社の上層部? 話すなんてとんでもない。特に副社長クラスより上となると話すなんて…物理的にノーチャンス(不可能だ)」
と言っていたのに…。
それまではヘラヘラ通訳してるだけの通訳君が青ざめている。
なにせ彼が通訳しなきゃならないんだからな(笑)。一番緊張しているのは彼かもしれない。
そりゃそうである。ちゃんと通訳しないと
ラオウの怒りに触れるとも限らん。そうなると首間違いなし。
まさに首をかけた恐るべき食事だ(笑)。
そして副社長が席についた。
当然真ん中。そう。日本でも上座などという風潮があるが、日本とは違い、海外では基本的には真ん中の席が偉いひとが座る席。
日本人はよく間違えて、上座は上の方の席と思って、遠慮して真ん中から座るバカがいるが、外国でそれをすると自殺行為に等しい。
新入社員や先輩が日本語で話し出す
義則「へぇ~あの人がT社の副社長なんスか。普通のおっさんッスね」
先輩A「今日のメインディッシュはと…」
先輩B「親会社? じゃあこの人直接俺たちとは関係なくね?」
サエコ「副社長とかどうとかよりも今日のご飯の量が気になる…」
慶子「時差ぼけで眠い」
財前「…」
通訳「…」
アホだ。こいつら。
もう救いようがない。
終わっている。
なんと驚くべき事に
副社長に対しあまり興味を示していないのである。
彼らの言い分はこうだ。
メガネも同じ人間じゃないか。それに今はプライベート。どっちが偉いとか関係ない。
…確かにそうだ。
今は無礼講。これは間違いない。会社を離れれば上司も後輩もない。お互いにセーフティ。
これが今の会社員の考え方だろう。
しかし
今目の前に座っているのは
まぎれもなくラオウ。
モノホンの世界最大規模の企業のナンバー2だぞ?
というよりこういう企業は実質ナンバー2が陣頭指揮を執るから
社長は飾りとして、実力的にはNO1と見てもおかしくはない。
一生会えない。
会えるはずがない。
そんなお方を前にして
今日の飯がどうとか
そんな考えがなぜ起こるのか。
こんな事まで教えないといけないのか?
先輩は別として… 後輩に。
皆認めないだろうが基本的に自己中なのだ。
若い奴は特に。
相手の事をまず第一に考えることをしない。
恐らくこいつらは
「副社長は飯を食いに来たのと俺たちに顔合わせに来た」
とでも考えているのだろう。
違う。
それは違う。
そんなものじゃないぞ。これは。戦場なら奴らはとうに死んでるだろう。
これは巧妙に仕組まれた罠だ。
副社長が来た理由。
それは私たちの人間力の見極め。
代理店パートナーとして本当にふさわしいのかどうか。
自分の会社の将来的なビジョンを社員が理解しているのかどうか。
業界の事をどれくらいまで知っているかどうか
信頼できるかどうか。雰囲気は明るい奴らかどうか
これを観察しに来たのだ。
そうでなければラオウが来るわけが無かろう…。
それに今日は社長は飯に来てない。
これで理由は明白。ラオウはその日を敢えて選んで乗り込んできたのである。
通訳の顔が瞬時に青ざめたのも
彼が副社長の突然の訪問をを私と同じように理解したからだろう。
さすがに彼はキレル。
そのとき副社長の口が開いた。
副社長「Mr. Zaizen?」
…
え?
は?
あれ? ちょっとまて。
今ミスター財前って言わなかったか?
いやいや。そんなわけはない。
そんなことあるわけないだろ。バカ。
第一なんで私の名前を知ってるんだ。
あり得ない。
それはない。
そんなわけはない。
落ち着け。
もちつけ。
なんかそういう単語があるんだろう。
通訳「財前くん。財前くん」
財前「ん」
通訳「財前くん。何してるの…」
財前「ぇ?」
通訳「呼ばれてるよ…」
財前「な…なに?」
…どうやらホントに私が呼ばれたらしい。
ずっと副社長の顔ばかり見てたからだろうか?
い…イカン!!
すぐに立ち上がり
財前「YES サー!!」
通訳「ちょ…」
義則「ぶw 直立不動www」
サエコ「…」
財前「黙れ雑魚共。 てめえらは消えろ!!」
副社長「ペラペラ ペラペラ MARRY ペラペラ」
財前「訳せ。早く。通訳。訳せ。」
通訳「え~と…君、結婚はしているのか?…と」
財前「何? よし」
…
財前「NO!!」
副社長「WHAT!? ??? ペラペラペラペラ」
財前「ぇ…?」
通訳「すいません…。さっきの訳間違えてました。婚約はしているのかと」
財前「何?婚約? 意味が全然違うじゃねえか!!」
通訳「ボクも緊張してて…」
財前「婚約ってなんでそんな事聞くんだろう…」
通訳「ああ。うちの社長と話してるときに聞いたみたいですよ」
財前「なんだ…そうか」
…
財前「YES サー!!」
副社長「ペラペラペラペラ」
通訳「奥さんは美人か?と」
財前「YES サー!!」
副社長「ペラペラペラペラ」
通訳「仕事は順調ですか?と」
財前「YES サー!!」
副社長「ペラペラペラペラ」
通訳「結婚式はいつ頃ですか?と」
財前「December!! サー!!」
副社長「ペラペラペラペラ」
通訳「新婚旅行はどこに行きますか?と」
財前「え… 決めてない…」
通訳「今決めてないとか外人には印象悪いですよ」
財前「わかってるわ!! よし」
確か副社長のオフィスはニューヨークだな…
財前「ニューヨーク!!」
副社長「OH !?」
通訳「ええ!?」
義則「マジすか?」
副社長「ペラペラペラペラ」
通訳「他に候補はないのかと」
財前「No idea サー!!」
副社長「ペラペラペラペラ」
通訳「もしニューヨークくるんだったら自家用ジェット貸してやろうかって」
財前「何!? マジか!?」
通訳「アメリカンジョークに決まってるでしょう…。 そこは笑うところです」
財前「何?ジョーク?」
財前「Sure !! HAHAHA A~~HAHAHAHA」
…
その後、手を振るわしながら副社長の名刺をもらって…
飯は終了した。

なんだ… このなんともいえない
すがすがしさは。
まるで戦場から帰ったかのような…
しかし…あの御方…他の奴とはほとんど話してなかったけど大丈夫だろうか。
副社長はうちの顧問と通訳、それと私とあと新入社員の女性としか話してない(笑)。
妙にリラックスしてたし…。
もしかしたらホントにプライベートで適当に来ただけかも知れない。
まあ皆の言うように
確かに同じ人間かもしれない。
だが
彼の一つの指示で
下へ下へ。そしてまた下へ。
命令が連なって最終的に世界の30万人の社員が動くのだ。
こういう人をリスペクトせずして
誰をリスペクトするというのか。

彼の会社の椅子は地上から180メートル以上も上の40階にあり、
そこからは外に雪が降ってるのが見えるのに
1階に降りると雨になっているらしい。
彼はこうも言っていた。
外の景色を見るのが私の仕事だ。
深い…。これは深い。
やはりNO2は違う。
つまりこれは外の景色を見なて常に脳をリラックスしておくことが私の仕事だと言いたいのだ。
視野を広く持ち
特定の仕事に関わらず、いつも臨戦態勢にいることこそが
副社長の仕事だと言いたかったわけである。
多分だけど…。
まあそういうわけで、
今日の記事はね。ちょっと難しいかもしれません。文章だけを素直に見てもアレですね。今日のはそういう記事でもないというか。感性の問題です。R指定かもしれません。
まあそれだけにね。副社長の事だけ書いてしまうと、私がどんな仕事してるんだ?なんて疑われるし、記事の本当の目的を読んで貰えないと思って前置きを書いたり説明をいろいろ付け加えました。
つまり私の会社は小さいまま。で海外のパートナー企業が買収されてね。とんでもなく巨大になったわけです。その買収した親会社の副社長がラオウだったわけでして…。
まあなんていうんでしょう。
遠い遠い親戚がイチローを産んだ
みたいな感じなんですね(笑)
簡単に言うとね。
まあだから私がどうこうなんて事は一切ないんですけど、アメリカに来て良かったですよ。ホント。
この人に会うだけで旅費なんてもう全然安いモノですよ。
こんな出会いがあるとは…
世の中わかりませんね。
次話 → http://ninehalt.blog4.fc2.com/blog-entry-831.html
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