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2007(Mon) 12/03

大学時代 回想8 友情と恋愛(90)

財前History … Comments(90)

この記事は管理人の大学時代の回想記の第8弾。
 回想1「一楽木工」 ~ を見ないと意味不明なので注意してください。



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回想1…一楽木工 
回想2…応援団
回想3…リリカ再来
 
回想4…ストーカー財前
回想5…バイク免許取得の先に
回想6…社会人の鏡
回想7…研究室所属 

回想8…友情と恋愛 
回想9…ホッケー女のイメチェン文化祭 
回想10…阿鼻叫喚の魅力
回想11…無駄が必然に変わった日
回想12… 近日公開








 今回の回想はしんみり系。ギャグなしの重い系です。すいません…。













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 結局ホッケー女にしてやられ…踏んだり蹴ったりの私…。 駄目だあいつ…かなり手強い。

 なんかもう勝てる気がしなくなってきた。


 …


 まあそれは終わった事。とりあえずは話し合いにより来年の蔬菜学研究室の体勢は


 幹事   カネダ
 副幹事  財前


 に決まり、研究室の活動が開始されることとなる。

 だが、ここに… 私事でないけれど、涙涙の物語が誕生する。

 研究室に所属すると卒論を書くための実験をする事になるが、これは当然1人ではできない。基本的に2人一組、もしくは4人一組のコンビで卒業論文を書く。
 
 つまり2人で同じ実験をし、協力しあって一つの卒業論文(卒論)を書くのである。

 私のパートナーとなったのは賢治という男。結構オシャレな好青年である。今後2人で協力して卒業論文を書いていくことになるはずだったのだが、私たちの卒業論文実験は教授が今から力を入れていくプロジェクトと関連しており、結構大事な実験という理由で急遽4人体勢となった。

 もしかしたら教授は私と賢治では力不足と感じたのかもしれない。

 そして2名の増員には女性が2名選ばれることとなった。

 2名の女性の名は直子さんとエリさん。両方…結構かわいらしい。

 私たちは4名で、きゅうりとトマトを栽培した。しかしこれは卒業論文実験であり、教授が力を入れる実験なので、ただ栽培するだけじゃない。

 なんと暖房光熱費0での栽培なのである。まったくの自然状態での栽培。しかも冬だ。

 野菜をハウス栽培する場合、暖房がないと冬は越せない。寒さの影響で収穫量が落ちるし、糖分や成長率にも影響する。

 適正な温度を維持してないときゅうり、トマトは栽培できない。


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 もちろん適正温度を維持するには必ず暖房装置が必要なわけだが、暖めるのには暖房費がかかり、バカにならない金額がかかる。…が当然なくせれば利益率はあがる…。

 ということで栽培をエコ(無暖房)でできないか?というのが実験の趣旨。つまり環境問題を考えて無暖房でやってしまおうというわけだ。 しかし冬はハウス内が3℃以下に落ち込むこともあるので無暖房ではとてもトマト、キュウリの適正温度である15℃~20℃は維持できない。

 ではどうするかというと…

 暖房の代わりに水を使うのである。水の余熱を利用するのだ。

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 仕組みはこうだ。ペットボトルに水を満杯に入れて、それを500個用意する。そしてそのペットボトルを断熱材に囲まれた場所に保管しておく。昼間の太陽でペットボトルの温度は上がるので熱を持つ。そして当然夜になると太陽はなくなるのでペットボトルも冷たくなる。

 これは熱をどこかに放出しているからだ。この熱はただ大気に逃げていってる。

 ゆえにこのペットボトルの水から放出される熱をうまく取り込み、その熱をハウス暖房として利用しようというわけだ。

 ちなみにこれは循環型ビニールハウス栽培プロジェクトの初期プロジェクト。

 5ヶ年計画なので、私たちはその1年目を担当することになる。

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 1年目の目標はペットボトルの水の熱放射を有効に活用できるような構造のハウスを造る事。ペットボトルの熱を貯めておく場所は工夫しなければならない。

 当然外気に触れる壁や天井の熱伝導率をどれだけ減らせるか、どれだえ隙間をなくせるか?というのも課題だ。そしてペットボトルの余熱でどれくらいのカロリーが賄えるのかも調査する。

 とにかく1年目はこの水が焦点となる。これを私たちが調べたら、次は後輩に引き継ぐ。恐らく2年目はハウス自体の構造をさらに探求することになる。断熱材やバイオマスといった素材を使用し、如何に熱を逃さないハウスを作り上げるかが課題になる。

 最終的にどうなるかというと、光熱費の節約という所に収まる。

 水の余熱だけで無暖房栽培など不可能なのははじめからわかっている。要は水の余熱を最大限に使うハウスを造る探求し、採取的には数十万円単位の暖房費を節約できればそれで成功だ。

 つまり「暖房は使いますが、このエコハウスを使えば暖房費はこれだけ安くできます」で教授論文は完成。これが5年後に発表できれば教授としてはそれでOK。

 私たちの代ではプロジェクトは終わらない気の長い実験。

 でも今考えるとこれ… 太陽発電で暖房すりゃ終わりだったような気もするなぁ(笑)。初期投資はかかるけど。まあその辺は所詮は農大と言ったところか。

 そして今現在農業会の話題になってないところを見ると… 結局最終的にあの実験は失敗したんだろう(笑)。だが当時は希望ある未来へのECO実験だった。

 
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 もう一度メンバーを説明。このエコハウス論文のメンバーは

 ①オシャレな色男        賢治くん
 ②キュートでかわいい     直子さん
 ③まぁまぁ美人         エリさん
 ④誰もが知ってるストーカー  財前くん
 
 でやることになっている。男2 女2だ。

 
 ちなみに栽培というと何が一番重要なのかわかりますでしょうか。

 無論言うまでもなく水やりです。これができてないと枯れます。これで枯らせるのは問題外です。事故でもなんでもなくサボリと見なされますから。水をやり忘れてトマトきゅうりを枯らせた場合、卒業論文の単位は貰えないでしょう…。

 次に重要なのは栽培温度15~20℃を維持することですが、これはエコハウスという特性上…暖房を使えないので維持は無理です。故にペットボトルの余熱だけでは寒すぎて枯れてしまった…という場合は致し方ない。そういう実験なんだから。卒業論文の単位は貰えるはず。つまり温度管理はしなくてもいい。

 こうなると誰が水をやるのか。当番制になります。

 例えば月曜日は賢治くんが水やり。火曜日は直子さん。水曜日はエリさん。木金土日は財前くんといった形ですね。
 
 あれ?なんかおかしいような…。まあいいでしょう。


 さてこういうグループだと当然ある出来事が発生します。
  

 私は前にも書きましたよね? いいですか? 覚えてますか?


 もう一度言いましょう。

 人間は同じグループ(組織)で目標が同じだとした場合。

 仲間意識、目標の共有という事項が脳を刺激し、ドーパミンが出るのです。そしてそれは恋へと発展するわけです。ええ。そうです。

 町中やコンパで会っても「お互い興味がない」で終わってる二人だとしても

 同じグループ内で目標を共有している場合は、「好き(*´Д`*)」という感情が非常に芽生えやすいのです。

 この事実は人間の生理学上、そして心理学上で証明されています。


 私の周りの友も大概がこのからくりで恋に落ち、やがてお互いの目標が違ったものになった瞬間に二人の心がズレ始め破局を迎える例が多い。

 環境が引き金となって交際したカップルは同時に環境の変化に脆いのです。


 もうおわかりですね? そう。エコハウス班の仲間は恋に落ちるわけです。

 私? いえいえ私は関係ないです。

 グループ内で恋愛などヘドが出ると前にも言ったでしょう。私はそういうの嫌いなんです。



 さて… そういうわけで…話を戻します。








 …時が進むにつれ

 研究室内では我がエコハウス班のキュートでかわいい直子さんがジリジリと魅力を増しきた。これはエコハウス班での話ではなく、研究室全体での話だ。彼女は天然ボケの上、声がアニメ声、顔がかわいいと三拍子揃った女性だが決して高嶺の花ではない。

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 手頃な感じで誰でも手が届きそうないい女。こうなると人気が出ないわけがない。

 非常に男ウケが良かったのだ。

 今思うと何か初音ミクを彷彿とさせる声だった。そして知り合えば知り合う程どんどん魅力が上がってくるタイプの女性に分類される。

 そして… 案の定…同じ研究室であり、しかも同じ目標を持つエコハウス班の賢治が直子さんに惚れる流れとなっていく。4人1組のエコハウス班にもかかわらず、賢治と直子さんは二人で独特の空気に包まれていた。

 多分両思いだったと思う。

 もちろん賢治自身は「直子さんが好き」とは言い出さない。私は彼に協力しようと思い、何度も酒の場や農作業中に聞いたが彼は感心のないフリをした。

 う~ん。言ってくれれば協力してやるのに。賢治は意外とプライドが高いんだろうか?

 しょうがないので直子さんの好きそうな事や、今何に興味持ってるかなどをさりげなく会話に交えてやることにした。 

 「直子さんはね~今こういう事やってるらしいよ~」「直子さんはね~」

 気付け賢治。おまえら両思いだって。今こそアタックのチャンスだぞ。時を逃すと… 私と同じ運命に…

 チズエさんの件もあったので人ごととも思えない。 


 うまく影で彼をサポートしてたつもりだった。しかし賢治はそうは取らなかったらしい。彼は私を自分の恋のライバルになるとでも恐れたのか、決して弱音を晒さない。

 それはある日の会話の事


賢治「なぁ財前」

財前「ん?」

賢治「おまえ直子さんの事どう思う?」



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財前「え? あ…ああ。  かわいいと思うよ」

賢治「そうか」

財前「??。 おまえはどう思う?」

賢治「俺もかわいいとは思うよ」

財前「おまえは直子さんと友達以上の関係になりたいと思うか?」

賢治「別に。 おまえはどうなんだよ」

財前「俺は別に」

賢治「そうか。まあ別にそんな言葉…真に受けないけど」

財前「おまえ何か勘違いしてないか?」

賢治「もういいよ」



 おわかりだろうか。これは賢治が私に探りを入れた事を意味する。彼は私が直子さんを狙ってると勘違いしていたに違いない

 だが私も「そんなことはない」と主張するのもどうかと思うので、敢えて言わなかった。

 そして…そのまま時は流れて行った…


 …


 エコハウス班として賢治、直子さん、エリさんと一緒に作業をするようになって数ヶ月が経った。賢治と直子さんは相変わらず友達として良好な仲を維持しており、賢治が告白すれば直子さんは即OKするんじゃないか?と思わせるほど一緒にいる時間がながくなっており、既に相思相愛は疑いようがない。


 植物への水やりも農作業も私は賢治と直子さんとはある程度距離を置き、彼らを見守った。彼らがつきあえば気兼ねなく話ができそうだからね。

 今あんまり直子さんに私が話しかけると賢治が気にする。
 
 
 賢治は恐らく機会を伺っているだけだろう。後はタイミングだけだろうから。告白するのはもう時間の問題だ。


 後はきっかけだけ。




 …



 と研究室内の仲間も思っていたはずだ。





 だが…



 だが…





 世の中残酷だ。






 なんと




 直子さんは…



 時を同じくして…



 研究室内のある男と交際を始めた。
 


















 つまり直子さんに彼氏ができたのだ。



 それも…




 突然である。



 それも…あろうことか



 私と賢治と同じ研究室内の仲間にさらわれた。


 
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 まさに敵は内にありの典型。賢治は監視され、虎視眈々と隙を伺われていたんだろう。それを突かれた形。まさに奇襲。



 直子さんは賢治がトロトロしてる隙に…強引に交際を求められ、OKしたんだろう。直子さんも賢治の本心は知らなかっただろうから、賢治とつきあえる確証がなかった。

 ゆえに身近で確実な男を選んだ。アプローチしてきたんだ。OKとさえいえば彼氏誕生。

 
 


 …



 彼女は意外と押しに弱かったのだ。



 まさに電光石火。



 別に無理矢理というわけではなく直子さんにも考えがあっての事だったのかもしれない。もしかすると、かなり親密になってるにも関わらず動き出さなかった賢治を見て「結局友達以上には見られてないのね」と見切りをつけたのかもしれない。
 

 だが… 噂はすぐに広まった。


 直子さんに彼氏できる!!



 この事実が 賢治の耳に入って以降


 賢治の顔から笑顔が消えた。


 実習中も無気力。何をやるにもマイナス思考で「意味ねぇ」「おもしろくねぇ」「うぜぇ」「ムカツク」などの感情表現が多くなっていた。 

 「てめえがトロトロしてるからだろ」と言ってやりたくもなったが、賢治は誰にも直子さんへの思いは打ち明けておらず、「自分が直子さんの事を好きだったという事実は誰も知らない」と思っているので(いや…もう周りから見てたらわかってるんだけど) 私も言うに言えない。

 せいぜい「最近元気ないな。どうした?」と聞ける程度だ。



 この場合…


 なぜ賢治に元気がないのかをハッキリと認識できるのは直子さんのみ。そりゃそうである。自分が男とつきあいだした瞬間に賢治があの調子だ。

 どんなに感度の鈍い女でもわかる。

 皮肉な事に直子さんは他の男とつきあうことで初めて「賢治は実は自分を愛していた」事に気づいたわけだ。だがもう後戻りはできない。


 なぜならつきあってる男は研究室内の仲間。

 この男と別れて賢治とつきあうなど同研究室内でできるわけがないのである。こんなことをすると「酷い女」になってしまう。

 賢治もバカな奴だ。私に相談してさえすれば直子さんとは確実につきあえていたというのに。 人に頼らず自分の力だけでなんとかしようというのが間違いだった。

 物事は全て結果だ。人に頼ろうともどんな手段を使おうとも


 結果を出した奴が勝ち。


 賢治はなまじ格好いい容姿を持っていただけに自分の力を過信した。


 今回の出来事はまさにそれを証明する形となった。


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 賢治はエコハウス班の仲間として直子さんと親密になり、つきあう確信が持てるまで告白を待った。賢治と直子さんの仲に入れないと判断した同研究室の男は確信を持たず、当たって砕けろで直子さんに好き好きアタック。直子さんは賢治といい関係になることで恋に積極的になっており…

 不確実な果実ではなく目の前の餌に食いついた。

 まさに心理マジック。


 いつの間にか断崖絶壁に追い詰められていたのは賢治の方だったわけだ。


 …

  
 賢治が研究室に来る生き甲斐は直子さんだった。直子さんが全てだったはずだ。彼女がいたから彼は楽しくエコハウス班としての活動ができ、未来への希望に満ちていたのだ。

 となると頼れるのは同じエコハウス班で頑張ってきた私だけのはずだが、彼は決して私に本意を打ち明けようとはしなかった。

 もしかすると妙なライバル心があったのかもしれない。背丈も180程度で同等。容姿も似ていて、性格も多少は似てる部分がある。着てる服もモード系で多少は似てたから…

 相談するのが嫌だったのだろう。

 「仲は良いけど財前に頼るのは絶対に嫌」という感じだったに違いない。実際そう感じられる彼の行動は何度も目にした。

 何を無駄な意識をしているのやら…。

 まったく、どこまでもプライド高き男である。恋愛だけに集中し周りが見えていない。男は…こうなっては駄目だというのに…。


 
 
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 そして…時が経つにつれ、直子さんと研究室内の男は交際を堂々と行うようになり、研究室でイチャツク場面も増えてきた。これが慣れた光景になってくると、もうみんな「ひゅーひゅー熱いねえ」などと突っ込む事も減り、スルーされる。

 賢治は気にしていたろうが…。
 

 だがすでに直子さんと研究室の男が愛し合ってるのは誰もが知ってる周知の事実となり…賢治は出る幕がなくなっていた。今更賢治も…

 
 いつしか私も賢治と直子さんとの関係を意識しなくなり、昔の普通の友達…に戻ったかのように思っていた。少なくとも直子さんはそうだったんじゃなかろうか?


 …


 そんなある日の事。 とんでもない事態が起こる。


 研究室で有志で飲み会のイベントが催された。

 だが私は行かなかった。

 その日はリョウさんと夜のクラブに行く約束をしていたからだ。

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 リョウさんは未だに私にとって絶対的な兄貴分であり、リョウさんの約束を研究室の飲み会なんて名目ではキャンセルできない。


 まあ結局…性欲を満たしたかったというのもあるけど…。研究室では既に仲間もできており、何度も仲間と飲んだりして交友を深めているので、天秤にかけるとやはりナンパして女の胸で寝る方を選ぶ。


 だが不幸な事にその日のクラブにはめぼしい女がおらず、リョウさんは早々に見切りをつけて1人帰ってしまった。私は一応粘ってみたものの、結局折り合いが合わずにナンパ失敗。

 1人で家に帰宅することとなった。 深夜の12時を回った頃だったと思う。


 今日はついてねぇ… 
 

 と思いながら下宿に帰ったが、下半身の寂しさと極度の精神興奮状態のため寝れない。冷蔵庫にあった缶ビールを数本空けた。それでも足りなかったので日本酒を引っ張りだしてヤケ酒をしていた…


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 っとその時だった。





 







 ピンポーン ピンポーン ピン…



 私の家のベルが鳴った。



 …



 来客者である。




 誰だ?こんな遅くに



 ん?もしかして。さっきナンパしようとした女が気が変わって私をつけてきたんだろうか?そうだとしたらラッキーだ(笑)


 もちろん世の中そんなに甘くない。




 ドアを開けてみると…




 目の前に…立っていたのは確かに女だがナンパした女ではなかった。 そこには目を疑う人間が立っていた。







 賢治である。


 

 しかも賢治だけじゃない。私の下宿の前に立っていたのは3人。




 そう…





 エコハウス班の3人だ。






 賢治、直子、エリの3人だ。


 何事だ!?と思い様子を見てみると? どうも雰囲気が怪しい。


 賢治は直子さんの肩にもたれ掛かって今にも落ちそう…。しかも酔っぱらって泣いている。直子さんも今にも泣きそうな顔。そしてエリさんは申し訳なさそうな顔。


 賢治が泣いてるって…










 一体何があったんだ!?

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 なんなんだこの状況は。なぜ直子さんの肩に賢治がもたれ掛かっているんだ!! それになんでみんな泣いてるんだ!? というかエリさんまで…

 どうなってる…  


 理由を聞こうとした瞬間、直子さんが申し訳なさそうに話し出した。



直子「ごめん財前君…。賢治をここに泊めてあげてくれない?」

財前「え?どうしたの?」

直子「理由は言えないの。いいでしょ?」

財前「理由が言えない?なぜ。。。」

直子「…」

財前「同じエコハウス班なのに」

直子「それはそうだけど」

エリ「財前君。直子に事情は聞かないであげて。お願い」

財前「うん?エリさん… どういうことなんだい?」

エリ「何も聞かずに泊めてあげて;;」

財前「はぁ!? 意味がわからんよ」


 
 私はナンパ失敗で気が立っていたこともあり素直に「うん」とは言えなかった。この状況を目の当たりにさせて「何も聞くな」とは虫が良すぎるだろう。そりゃ良い気分はしないって。

 なぜ。なぜ賢治がアンタの肩に寄り添ってるんだよ。

 二股か? 貴様。

 てめえ今まで散々私の事をナンパ晒し野郎とか言っておいてそれはないぞ。

 
 まあ今日は一人だから泊められるけど…こんなんじゃ泊めたくない。


 そういう私の気持ちを察知してか直子さんが再度話し出す。

直子「とにかくお願い」

財前「いや…だから。なんで賢治がそんなになってるの?」

直子「酔いつぶれちゃって」

財前「なぜ。賢治はそんなに酒飲まないはず」

直子「…」



直子「まあ…もし賢治君が話せば話だけでも聞いて貰っていいけど」

財前「そんな酔っぱらい状態の賢治が話を?」

直子「…」

エリ「友達なのに泊められないの?」

財前「泊めるのはいいけど、その背景によっては駄目だ。ここに泊まるのは賢治の本意じゃないかもしれんし」

直子「なんで?」

財前「さあ」





 わかるだろうか? この時の私の気持ちが。

 別に賢治を泊めるのは全然構わない。まったく問題ない。第一私の家は溜り場なので友達が毎日のように泊まりに来る。だが今日の場合は状況が違う。

 まず賢治だ。確かに友達だ。だが彼は私の下宿に一度も泊まりに来たことがない。以前に私は彼を直子さんの件で何度も酒に誘った。家で飲み明かそうと。相談に乗ると。

 だが彼は全て拒否してきた。「直子さんの件で話し合う事なんてないぞ?」ととぼけていたのだ。

 泊まりに来るのであればそれは彼自身の意志であって欲しかった。

 この場合、賢治は酔いつぶれているので彼の真意がわからない。今まで何度誘っても来なかったんだ。私の家で泊まりたくないと賢治は思っている可能性もある。

 それを女に言わすなど言語道断。

 それにだ。ドアの前に立っている直子、エリ、賢治はエコハウス班の仲間だ。この仲間は私を含め4人しかいない。


 エコハウス班は4人で一緒にやってきたはずだろう? 今私の下宿の前にいるのはその4人だ。

 
 他には誰もいない。


 それなのに「理由は言えない」「何も聞くな」とは何だ。誰も他に盗み聞きするやつなどいないじゃないか。

 言っておくがこれは「賢治は直子さんを好きだったんでしょ?」などというヤボな事を聞きたいのではない。そんなことは周知の事実だ。今更どうでもいい。

 あきらめ切れなくて賢二が今頃アプローチしたのか?それとも二股状態だったのか?
 
 このレベルの…何か私には知りようのないことが裏で発生していた匂いがプンプンする。こいつら…何か隠してるな?
 

 まあ…何も言ってくれないというのは私のキャラ、つまり何でもネタにしてべらべらしゃべる癖を警戒したとも考えられるが…それでもこれは酷い。確かに私は研究室の副幹事として色々とふざけた事をしてきたが、それは全て研究室内を盛り上げるためであり、もちろん多少の演技も入ってる。 
 
 まさか私が本当に根っからのお調子者だと勘違いしたのか?このアマ2人は。

 そうだとしたら信じられないほど人を見る目がない。おまえらは盛り上げ役をやったことがあるのか。周りを盛り上げるためにどれだけ自分を犠牲にすると思っている。代りにやってみればいい。苦労がわかるから。真面目な事言うよりも難しいんだよ。こっちのほうが。頭使うんだ。気も使う。

 言っていいことと悪いことくらいはわきまえるさ。


 それとも私の下宿が男の溜り場で、そして鍵をよく友達に預けたりしてる事を知ってるから「財前とこならすぐ泊まれる」とでも思ったのか?

 残念ながら… それは大まかな部分での正解ではあるが、表面上の結果を見ているに過ぎない。大切な事を忘れている。私の家が周りにはただの溜り場下宿と見えるのはわかるが、それは仲間だからこそ許されているのだ。酒を飲み、皆で楽しみたいと思えば、誰かが場所を提供するしかない。

 だから提供しているのだ。自分の家を。 皆で楽しむためだ。

 おまえらはそうじゃないだろう。仲間意識がないのであれば自分らだけでなんとかするべきだ。幼稚な恋愛ごっこの尻ぬぐいなどまっぴらごめんである。


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 まぁ…。 だいたい察しはついてる。事情はこうだろう。


 今日は研究室で飲み会があった。賢治と直子とエリも出席した。1次会は数十人でワイワイと進み、終了した。その後賢治は直子が諦めきれず、2次会に直子を誘った。2人じゃ気まずいのでエコハウス班の仲間のエリも誘った。これで対外的にはエコハウス班での2次会と写る。

 そして賢治が直子さんが彼氏ができても諦めきれず…奪おうとしたか、もしくは直子さんが研究室の男とどっぷりラブラブしてる現実を直視できず、絶望してやりきれなくなり…本人に思いをぶつけたのだのではなかろうか。

 直子は自分にも負い目があることを理解しており、賢治の扱いに困った。エリも同様だろう。それで切り上げるに切り上げられず終電の12時までグタグタと飲んでしまった。しかし賢治は電車がないと帰れない。でも自分の家には賢治を泊めたくない… となると財前の家に放り込むしかない。




 まあこんなとこだろう。

 バレバレじゃねえかこいつら。それを何も聞くなとか俺を舐めてるだろ。


 …



 言っておくがこの件に関して私は以前に何度も賢治に救いの手をさしのべているが、彼は全て拒否してきた。こうなったのは賢治の自業自得。そして賢治の気持ちを知りながらも研究室の男と突然交際を始めた直子の自業自得。

 衝突するのはわかるはずだ。なぜ直子は賢治に何か言葉をかけて諦めさせてやらない。放置してるからこういうことになる。


 終いにはもうどうしようもなくなり尻ぬぐいを私に託したわけか。
 

 
 …


 本来ならば… やってあげたいところだがずっと3人で秘密を共有してたのだから3人で終わらせればいい。

 なぜ最後になって私を巻き込むのか理解不能。私に内緒の何かがあるのなら…一番連れて来ちゃ行けない場所はエコハウス班で一緒にがんばってきた私の家のはず。

 まさに裏切り。

 残念ながら気が進まない。こんな無責任で自分勝手な奴らの尻ぬぐいなどする気はない。 


 だが…


 まあバカに空気を読めと言ってもそれは酷な話だろう。元々この程度の奴らだったのだ。




 ここは









 賭けてみるか…。 賢治に。









 ここは泊めてやろう。






 そしてもし賢治が私に今回の件のいきさつをすべて話せば…






 許そうじゃないか。






 賢治を男と認めよう。見直そう。



 今までの事はチャラにしよう。今日の事ももういい。




 賢治も大学生だ。事情を何も話されなかった私が何も言わずに泊めてやったという事実を知れば…心苦しくなって私には話すかもしれない。



 …



財前「わかった。賢治をおいていきなよ。後はなんとかする」

直子「ありがとう。じゃあよろしくね」

財前「ああ。ちょっと」

直子「何?」

財前「賢治に何か言っておくことはない?」

直子「え? 特には…」

財前「じゃあ何で賢治が泣いてるんだ?」

直子「飲み過ぎたんじゃないかな」

財前「…」

直子「…」

財前「…」

直子「じゃあ帰るね」


財前「本当に賢治をこのまま置いていっていいのか?」

直子「何が?w」

財前「…」

直子「…」



 女と男の関係などこんなものだ。男同士ならこんなことは絶対にない。得てして女は彼氏、恋愛を過剰に意識するため、その対象外となった男の運命は…


 いくら仲が良かったとしても。 彼氏ができたら用済みなのだ。


 そこに友情はない。


 最後の尻ぬぐいさえ役目を逃げる。




 だから私はリョウさんとナンパを続ける。 今回の事で再認識した。特定の女とだけ一緒に居ても…何も得るものはない。それよりも今はたくさんの女と経験を積み、確かなものが欲しい。
 






 


 結局…




 賢治はその夜。貸した布団にくるまってメソメソ泣いているだけで何も話してはくれなかった。

 隣で何も聞かずに我慢して寝てた私の気持ちを彼はわかったのだろうか?


 おまえにとって卒論のパートナーとはそんなものか。友情とはそんなものだったのか。

 友情より女を取るのか? それもいいだろう。

 しかしだ。 お前の信じた女はさっき容赦なくお前を捨てて行ったぞ。そしてそんなお前を今かくまっているのは… いったい誰だ? 

 友情と恋愛

 最後に信じられるのはどっちかわかったろう。泣いてないで今の現実を直視してみろ。今私がおまえに何を期待してるか考えてみろ。

 

 


 言わなくても彼は理解してくれると信じていた。



 
 
 だが









 結局…
 

 賢治はその日はおろか卒業するまでこの話はしてくれなかった。それどころか今日泊めた礼すら私に言わなかった。



 「女に生きた男」は女によって殺された。女もいいが、友情を忘れてはいけない。 


 泊めただけで礼をして欲しいわけではないけれど、状況が状況だ。せめて一言くらいはあってもいいだろう。4人のエコハウス班で…3人だけの隠し事。

 終わったと思ってた直子さんと賢治。実は影でいろいろあったんだろう。真相は知らないが、隠すなら最後まで隠し通せよ。私の家に連れて来ちゃだめだろう…。最後で逃げるなよ…。


 まさに3人は裸の王様。

 
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 どんだけキングなのよ 君達。


 親しき仲にも礼儀ありとは… こういう極限状態の時こそ必要なのかもしれない。そしてこういう極限状態の時こそ、人の本性が見れる。

 彼らの取った行動は決して悪事ではない。しかし信用を完全に失った。
 



 が…研究室で起こったグループ恋愛はこれだけに止まらず… 


 






















 次回 ホッケー女のイメチェン文化祭







 


 今日の関連曲

 裸の王様(キング)   (LOVE PSYCHEDELICO)

 





 PS

 如何だったでしょう。暗く重い話。今回は自分が中心ではなく、賢治が中心。だから暗くなったとも言えますが実際あった話をそのまま書いただけです。まあ今回の件はリアルでも相当暗かったんです…。私は直接はどうこう関係ないんですが

 賢治の事だけに自分の時のように心理描写ができないんで
 
 ネタにはなかなかできない(笑)。

 こういうことでいろいろ経験できたことはありがたいんですが、やはり一般的な恋愛というのはあまり人間の成長には繋がらないのかもしれませんねぇ。しょーもない事でごちゃごちゃしすぎてる。ナンパしてた方がよっぽど将来の役にたつような気がする。なんてことを大学時代に思いました。

 どうせ結婚したら1人の女とずっとつきあっていくわけだから


 ねぇ(笑) そんときだけでいいんじゃなかと



 …


 もちろんこの考えは社会的には間違ってるわけですけどね。


 あとですね。非公開コメントでXBOXの質問を良く受けますが、それは以前の記事で全部対応できます。ブログ右メニューのカテゴリーでXBOXを押したら答えはありますよ。


 最後に誤字ご指摘ありがとうございました。
   
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