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2007(Tue) 11/13

大学時代回想4 … ストーカー財前(198)

財前History … Comments(198)

 
 この記事は管理人の大学時代の回想記の第4弾。
 「一楽木工」、「応援団」、「リリカ再来」を見ないと意味不明なので注意してください。


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回想1…一楽木工 
回想2…応援団
回想3…リリカ再来
 
回想4…ストーカー財前
回想5…バイク免許取得の先に
回想6…社会人の鏡
回想7…研究室所属 

回想8…友情と恋愛 
回想9…ホッケー女のイメチェン文化祭 
回想10…阿鼻叫喚の魅力
回想11…無駄が必然に変わった日
回想12… 近日公開








 (注意) これから始まる第3話はかなり長文です。3回くらいに分けて読んでくださいね。








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 高校時代ずっと片思いで過ごしたリリカの再来のようなチズエに出会ったまでは良かったが、その瞬間に2ヶ月にも及ぶ大学の夏休みに突入してしまった私。

 正直言って大学の夏休みはあり得ない。

 
 なんと2ヶ月間何一つイベントがない。日数にして約70日間もの休日が続くのです。良いように思うかもしれませんがこれはハッキリ言って地獄。

 暇で暇でしょうがない。
 
 だいたい東京に出てきてまだ3ヶ月しか経ってないので友達がタカシとワコウの2人しかいない。しかも電話してもあいつら「ぐうたら」だから夕方まで熟睡してたりして全然出ない。

 一体どうしろと? 70日間も何もないとか無理だ。暇に押しつぶされそう;;
 
 しかもなんなんだこの町は。近所に挨拶してもまるでクールな対応。ドアを半分くらい開けての対応がほとんど。こんなんじゃ会話が続きゃしない。近所づきあいという言葉すら愚問に思える。
 
 …

 しょうがない。

 夏休みの間は徳島に帰るか…。

 
 そう思ったが、よく考えるとこれは田舎思想。そうでした。そうでした。ここは東京。弊害もあれば利点もあるのです。今まではテレビでプロレスやら野球やらコンサートを見てもそれは異世界のものって認識。テレビでしか見えないものという「すりこみ」が知らず知らずの内に脳を支配していました。

 でもここだと簡単に見に行けるじゃないですか。

 ていうか私がいま住んでいる所がその現地ですし(笑)。


 そうでした。そうでした。早速ローソンで雑誌を買ってきてめぼしいものを調査。すると…

 あるわあるわイベント目白押し。さすが東京。
 
 まず 東京ドーム、後楽園ホールでのプロレス興業。さらに野球はいつでも巨人、ヤクルト、西部、ロッテを見に行けるしコンサートなど数え切れないほどやってるじゃないですか。

 これだ。これしかないということでお腹いっぱい興業やコンサートに行きましたが、よく考えるとそんなにお金がもつはずもなく5,6回行ったところで手詰まりに…。

 プロレスとかコンサートって結構値段が高いんですよね…。  


 しかももともと幼少から慣れてないので観に行くと疲れる。そういう感覚ないもん。人混みだめだし…。

 田舎者の私にはテレビで見てる方が合うわ。


 …


 
 ああ… なんなんだこの「ぐうたら」感は。大学生とかほとんどニートと変わらない。いつ寝てもいい。いつ起きても良い。何してもいい。時間は無限。

 こんなんでいきなり社会に出て大丈夫なんでしょうか?就職した後が心配になってきます。

 結局夏休みが2週間も過ぎた辺りで徳島に帰り、その後は地元の友達と思う存分遊んで第一期夏休みは終了。

 70日にも及ぶ休日でやったこと。



 …特になし



 70日に及ぶ休日で得たもの



 …特になし




 もう最悪(笑)。



 よし。次の夏休み。2年生の夏休みはなんかしなければ!!





  
 


 10月1日

 2学期が始まる。しかし2学期と言えば聞こえがいいものの12月で講義が終わりなので実質授業は2ヶ月しかないという「ぐうたら」ぶりです。それも朝から夕方まで授業で埋まってるわけじゃなくて一日3時間程度の授業で終わり。もちろん授業内容なんて真面目に聞いてないです。


 ぬるすぎる…。


 大学ってなんてぬるい所なんだ…。



 
 恐らくですが、これから2学期で起こる「ある事件」がなければ大学4年間はこのように平凡な生活で終わっていたでしょう。ホント何もすることがないんですから。
 
 友達を作ろうにも「授業に出なくてもいい」という仕様上、授業に常に出ている学生は一定してない。せっかく知り合いになってもそんなにいつも同じ顔と会えるわけではない。当然親密にはなりにくい。友達まで行かない。

 しかも1学年に250名が1クラス。これだけの人数がいるので大学4年間で会話すらしない人が半分くらいはいます。そういうわけで関係も希薄になりがち。実際そういうものなのです。

 もちろんこれは農学科での話。全学科合わせると1年生に2000人くらいいたんじゃない?

 しかし… 恥ずかしい「ある事件」が起こることで私はあり得ないくらい知名度があがることになります。




 その事件こそ「財前ストーカー事件」





 そう。夏休み前の農業実習でリリカと酷似している女性と会ったのは記憶に新しいのですが、そのチズエさんへのアプローチを間違えて…

 …


 …


 これは後述します。後に明らかになります。





 さて、2学期が始まったわけですが、何よりもうれしいのが再びチズエさんに会えることです。どれほど待ち望んだことか。あんな無駄な夏休みなど私には必要がなかったのです。

 早く学校が始まって欲しい! 暇すぎる! という本来ならば喜ぶべき夏休みを無駄に過ごしたのも、ぐうたらでやる気がなかったのも全ての原因はチズエさんに会えないことが原因だったのです。

 授業に出ると早速チズエさんを発見。250人いようが関係ない。光り輝いているのはこのチズエさんだけ。一目でわかる。

 ぐおぉ… また一段と美人に…

 もしかしたら本家リリカよりもいい女かもしれない。

 
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 ああ。話したい。話しかけたい。

 しかしどうすれば… いいだろうか。 まず共通の話題がない。

 候補をあげよう。

 ① 「夏休みどうだった?」

 だめだ…。だいたい見知らぬ人にいきなり「夏休みどうだった?」なんて言われる自体がおかしい。却下。

 ②「今日もいい天気ですね」

 無難だけど怪しすぎる…。ナンパじゃないんだから…。

 ③「2学期はどの講義取るんですか?」

 う~ん…。これも知り合いなら簡単に言えるんだけど…



 …


 そう。まだ私とチズエさんは一度も顔を合わせたこともなく、一度も会話したこともない赤の他人同士。会話するよりも何よりもまず共通の何かがないとキッカケすらない。

 共通しているのは 東京農業大学 という一点のみ。

 第一印象で今後の相手の印象の約60%以上を占めるのでファーストコンタクトは大切に行かなければならない。
 
 さてどうすればいいのか…。


 そんな時にタカシが講義に遅れてやってきた。 相変わらずこいつは「ぐうたら」すぎる。もう1人の友達ワコウは多分今日はサボりだろう。

タカシ「よ~ぉ 財前。夏休みどうだったよ」

財前「別に…」

タカシ「俺とかなんもしてないわ。暇やから実家と和歌山にすぐ帰ったんやけど結局やることなんもないんやぞw」

財前「ぶ。俺と一緒じゃないか」



 …しばらく会話に花が咲きます。その後タカシが急に小声になる。 

タカシ「それとよ… 夏休み前から気になってたんだけど、あの子かわいいと思わんか?」

財前「ん?誰?」


  なんと(笑)。さすがは外見がナンパ野郎。お互い同じ臭いを感じてたからこそ250名もいても一発で友達になれたわけですが、私と同じ事考えてるよコイツ。
  
タカシ「ほら。前から6番目の席に座ってる子の…」


 そうやってタカシが指を指す。
 
財前「!? 何!?」

 ここで信じられない事が発生。なんとタカシが指さした前から6番目に座ってる子は…





 …














 チズエさんだったのです。 
 
 302-4.jpg









財前「え?え? ちょっとまて。ちょっとまておまえ」

タカシ「…の隣の子」

財前「!? と…隣?」

タカシ「ほら。あのストレートの髪の子」
 
財前「…」

タカシ「あの子かわいくないか?」

財前「なるほど。その隣ね」

タカシ「目つきがなんともいえんわ」

財前「タカシ。ちょっと確認するぞ。前から6番目の席で右側に座ってる子だな?」

タカシ「あん? ああ。そうや」

財前「左じゃないな?」

タカシ「右や」


 キタ(゚∀゚)!  チズエじゃない。 ふぅ… キモを冷やしたぜ…。もしタカシが相手となると厳しかった。(←実はタカシはTOKIOの山口君似で結構イケメン)


財前「OK。タカシ。その恋乗った! 是非協力しようじゃないか」

タカシ「おw どないしたんやお前」

財前「だが俺にも協力しろよな」

タカシ「あん? 何がや」

財前「その隣の子を俺が狙ってるんだ」

タカシ「なんやそれw ホンマかいな」

財前「もう片思い歴2ヶ月だぞ」

タカシ「ワイの好きな子の隣って… あの茶髪の子か?」

財前「そうだ」

タカシ「ふうん。別に普通やんけ」

財前「なんでだよw」





タカシ「財前」

財前「ん?」

タカシ「確認しとくぞ? 右の子じゃないな? 黒髪ストレートの子やないな? おまえのは茶髪ミドルヘアーの子やな? ワイとかぶってないな?」

財前「安心しろ。お前とはかぶってない」

タカシ「せやか」

財前「たまらんわ。あの足… 胸」






タカシ「OK財前。是非協力しようじゃないか」

財前「おおw」

タカシ「おまえがダブルデート協力してくれるんならこりゃイケルで。ワコウじゃちょっと役不足やと思ってた」

財前「おお。そうか」


 こうしてタカシと協力戦線を組むことになった私ですが、チズエさんとその隣の子の身の回りを調査している段階で、タカシの狙っている子は何年もつきあっている彼氏がいることが発覚…

 ナンパなどならこんなのは関係ないですが、さすがに同じクラスで同じ学校で彼氏から彼女を奪うのはまずいわけです。世間体もありますしね。



 こうしてタカシは戦死。


 戦わずして負けた。 


 
 一方私のチズエさんの方はというと、調査によれば彼氏はいない。彼女につきまとってる変な男もいない。

 登下校も常に女友達と一緒なので健全そのもの。順風満帆であります。

 
 しかしタカシはそれが面白くない。


タカシ「なんやねん。もうどうでもエエわ」

財前「まあまあそういうなよ」

タカシ「他の行くにしたって後のはゴミばっかやし」

財前「失礼な事を言うなよ」

タカシ「もうエエ。恋は諦めた。ワイはバイトに生きるで」



 これ以後タカシは大学生活の主力をバイトに置くようになる。

 …惜しい男である。

 これだけのルックスなら心を寄せていた女性もたくさんいたろうに。


 しかしこれだけすんなり諦められるところがモテル男の余裕なのでしょう。


 
 さて、もうタカシはいいでしょう。
 
 授業中にいつも気にして見ている事もあって大分チズエさんの方の情報がわかってきました。 まず仲のいい友達ですが、約5人。授業もいつもこの5人が円を描くようにして席を並べます。

 ということはこの5人の誰かと接点を持てばチズエさんとお近づきになれるということです。

 中でもアイスホッケー部のショートカットの女はもの凄くチズエさんと仲が良い。運動部だけあって気さくな感じなのでまずはこの女から手なずけるのが有効と判断できます。 チズエさんは警戒心が強そうなのでいきなり牙城に踏み込むのは危険そうですから。
 
 そんなことを考えつつ日々を過ごしていました。

 そんなある日、授業を受けているともう1人の友達「ワコウ君」があるリストを持ってきました。そのリストとは「どの授業が単位が取れやすいか」リスト。

 ワコウは大きなサークルに所属しているので先輩から過去テスト問題やら過去の授業の内容やらを得やすいようです。

ワコウ「これは取っといたほうがエエで。出席だけで単位取れるらしいわ。この授業はテストはムズイけど出席すれば50点くれる。代筆もできるから楽勝らしい。あとこれ… これも…」

財前「ふむふむ」

タカシ「ふむふむ」


 とりあえずタカシと私はワコウに言われたとおりの授業を聴講することに決めました。というより全部ワコウと一緒にしただけですが(笑)。

 (大学では何の授業を受けるかを学期の始めに自分で決めて提出する)

 
 いやあ。こういう情報は助かりますねぇ。ホント。ワコウ様々ですよ。


 …


 ん?



 待てよ…。この情報… 




 使える…(゚∀゚)
 





 この情報… もしチズエさんに教えることができれば… お近づきになれるかもしれない。これを餌に…。

 よし…やるか。


 私は数日間かけてチャンスをうかがう。どの授業を受けるか決めて大学に「単位聴講計画書」を提出する期限まではあと1週間ある。

 絶対にあるはずだ。チズエさんとその友達がどの授業を受けるか話合う時が。彼女らはわかってないはずだ。どの授業を取ればいいのか。未知数のはずなのだ。


 そこを狙う。そこに私がサッソウと登場し、ワコウのリストを流す。


 当然






 キャー━(゚∀゚)━! キャー 財前君かっこいい~


 となるわけだ。完璧である。


 問題はお互い初対面の状態でどうやってその状況に持って行くかだが… タダの怪しい男と思われたら終了する… しかしこれは最大のチャンス。ここを逃すと次がない。

 何しろ大学にはイベントがないのだ。
 
 と考えると近づくきっかけはこれしかないんだから。
 

 


 …





 2日後、ついに運命の時がやってくる。


 予想が当たった。本日最後の農学科の授業が終わってもチズエさん達が教室から動こうとしない。そして読み通りみんなが机の上に「単位取得計画書」を出したのである。

 キタキタキタ来た来たキタキ多喜田~~~!!  


 ついに2ヶ月半に及ぶ戦いが成就するときが来た。 知り合いになってしまえばこっちのもの。私の「恋の手順書」通りの手順を踏めば彼女は私の物だ。

 ワコウとタカシにそれを告げる。

財前「悪いな今日は先に帰ってくれ」

タカシ「おまえついにやるんやな… よっしゃ。今日はおまえの家に待機しちょるから鍵かせ」

ワコウ「電話番号聞けたらなんか奢ってくれよなw」

財前「OKハニー」


 タカシに部屋の鍵を渡す。どうせあいつらは私の部屋でウィニングイレブンでもして暇を潰す気だろう。奴らは関西人だ。口では応援してるなどと言ってるが期待しているのは「失敗」、「笑いネタ」に違いない。 フッ…バカ共が


 
 …



 
 タカシ、ワコウが教室から私の家に向かったのを確認して早速さっきのイメージを実行に移す。

 わかってると思いますがこの時…心臓バクバクです。気分悪くなるくらい脈打ってます。

 
 この感覚はこの時にしか味わえないもの。告白したことのある人ならわかるでしょう。告白するときに感じる

 「なんとも言えないあの感じ」。

 

 胸がキューとするというか脳がキィィーとなるというか…。科学的には脳のアドレナリンが大量に分泌されてるから起こることで、恋の力でもなんでもないんですがこの際そういう話はいいでしょう。

 
 2歩、3歩。チズエさん達がいる机へと近づく。


財前「いよいよだ…いよいよだぞ…財前。 しくじるな。しくじるな。第一印象がすべて…」
 

 しかしこのプレッシャーは半端ない。何度もナンパやクラブで女を食ってきたはずなのに今回は何か感触が違う…。近づく毎に息苦しくなってくる。

 なんだこれは… なんなんだこれは… 

 「脳でチズエさんの所に行く」と思っていても体がついてこない!!

 
 しかし2歩、3歩と確実にチズエさんの元に近づいてはいるものの…


 体を動かすので精一杯になってしまい最初に言う台詞が頭からスッカリ抜ける。思い出せない。あと3歩も歩けば夢にまで見たチズエさんとの会話ができるというのに最重要の最初の一言が…


財前「い…イカン!!」


 危険を察知しすぐさま進路を変える。


 そして一目散に教室の外へ。



 …



 第一ファーストコンタクトは失敗。


 ふ~。ふ~。 異常に波打つ心臓。


 私はいつからこんな男に成り下がったんだ。ナンパやクラブの女を口説いてきたあの財前ゴウはどこへいったんだ。


 なんだ!! この情けない結果は。チズエさんにもう一歩のとこまで近づいていながら















 おめおめと引き返すとは!! 














 私が歩いたルートはこうである。














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 ちょ… 待てよ。  小学生より酷い(笑)。 



 
 なんて女なんだ…。なんなんだあの魔性の力は。近づく毎に視界が薄れ、脳が麻痺し、ついには引き帰さざる得なくなってしまうとは。

 近づくことさえできない…。こんなことは生まれて初めて。

 まさに魔性の聖域…。


 

 …


 もうやめようかな…。そう思いました。しかし、タカシとワコウの存在がその弱気を助けました。アイツらは私の部屋でネタを待ってます。このまま何もせず帰ったらそれこそ大笑い物。チキン財前なんてあだ名になったらたまったものではない。

 こっちもこっちで引き返せない…。
 

 どっちを取るか…。答えは決まってます。ワコウとタカシの元にこのまま返れば笑いもの。それはマイナスです。チズエさんの元へ行けば何かが始まる。それはプラスなのです。


 よし。腹を決めた。



 私は先ほどの不自然な行動を「トイレに行ったって思って貰おう」と思い、行きたくもなかったトイレで無理矢理用を済ませる。これでアリバイはできた。行くぜ再度教室へ!!

 
 

 っしゃ~ コラー






 教室にはまだチズエさんがいたんですけど次の瞬間。


 

 なんとチズエさんがこっちを見たんです!! しかもあろうことに目が合ってしまったんです。


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 ヤバイィィ。これでホントに後に引けなくなってしまった。

 だって

 これは…  もう行くしかないじゃないか(笑)。


 さっきみたくもう敵前逃亡はできない。したら怪しすぎる。


 まさに四面楚歌。


 しかもこの私の怪しさはどうだ。たった1人で教室に何のためにいるんだ私は。

 友達は帰った。知り合いなんて誰もいない。背景を考えると如何にも怪しい…。



 …こうしてさっきまでの逃げ道のあった状況とは変わって一気に追い詰められた私はついにチズエの元へとたどり着く。

 さっきまで脳を支配した「あの感じ」や胸のキューとなる感じ、心臓のバクバクも以前よりは薄かった。脳内アドレナリンにも四面楚歌、背水の陣の状態だと勝てるということだろう。

 ココまで来てしまえばあとは考えることはない。

 今までの経験を存分に出し切るだけ。


 まず。

 チズエさん達の所まで来てもいきなりは話しかけなかった。あまりにも不自然。それをするとタダのテンパってる小心者であり、「コイツ誰かに気があるんじゃないの?」とモロにバレル。

 まずはさりげなく机に広げられている「単位取得計画書」に視線を向けた。これにて相手側に「あ。この人単位取得報告書を見た」と認識させる。

 その後にワコウのリストを見せてあげる事で「あ。この人は私たちが単位取得計画書を書いてるのに苦労してるのを見たから助けてくれたんだ」と思わせる。

 これだ。

 幸いなことにこの一瞬で閃いた作戦。危ねえ…つい、いきなり話しかけてたらアウトだった。今までの経験は無駄じゃなかった。

財前「あ。皆さん2学期の授業で何取るかを決めてるんですか?」

ホッケー女「え?そうですぅ」


 チズエさんは「え?え?」という驚いた表情をしている。恐らく初対面の男からいきなり話しかけられたのでびっくりしているのだろう。

 まあチズエさんはそれでいい。

 クックック…。  一番活発なアイスホッケー女が食いついたのだ。危ないところだ。ここでチズエさんが答えてたら私の顔が紅潮して下半身がモッコリして下心モロバレアウトだったからな。

 ホッケー女の相手などその変でナンパしてる女と何ら変わらん。

 楽勝。早速餌を撒く。

財前「何か聞いた話ですと先生が厳しくて絶対取得できないって言われてる授業があるみたいですよ?」

 ↑大嘘。 

 
 こういう場合は嘘もやむを得ない。何しろ私は見知らぬ怪しい男なのだ。自分で話題を作るしかない。

 予想通りホッケー女が食いつく。 よしよし。


ホッケー女「え~本当ですかぁ~?」

財前「先輩から聞いたから間違いないよ」 (大嘘)

ホッケー女「どの授業ですか?」


 おっと…。これで嘘も限界。さすがに指定はできない(笑)。後でバレルから。早速話題を変える。


財前「え~といろいろあるから言いにくいな。単位取得が楽な授業ならすぐにわかるけど…」

ホッケー「え!? マジですかぁ~ ねぇねぇみんな 教えて貰おうよ?」

財前「 (( クックック… ハッハッハッハ ハ~~~ハッハッハッハッハ))」

 来たな…。これでチズエさんの下半身に私の息子が一歩近づいた。

 心の中で笑う私。


ホッケー女「あの…お時間ありますか? できればどの授業が楽か教えてくれるとありがたいんですけどぉ;;」 

財前「ああ。え~と…。うん。バイト行くまで時間あるからいいよ」 大嘘

 クックック…無論バイトなどしていないがな…。


財前「実は友達からこれ貰っててね」

 と言いながらリストを出す。少し遠目だ。遠目に出す。予想通りホッケー女が体を乗り出して見てきた。当然だ。そうしないと見えないからね。

 このときホッケー女はチズエさんの隣に座っていた。 どかすにはこれしか手がない。

ホッケー女「うわぁ凄~い。簡単な授業なんかが全部書かれてるよ@@」

周りの女「うそ~」

 ホッケー女が身を乗り出した事でチズエさんとホッケー女の間にスペースができた。

 私は素早い身のこなしでホッケー女とチズエさんの間に素早くキラーパス移動。



 素晴らしい。自然だ。ごく自然だ。このポジショニング。誰も気づいてない。


 む… は!!


 そういえば…

 悲願だったチズエさんの半径1メートル以内についに…進入できた。



 く… なんてオーラだ…。なんだこのなんとも言えない重圧は…。
 


 ん?

 くんくん。


 ああ。ああ~。なんていい臭いなんだ。素晴らしい。

 しかも上からチズエさんの胸を見下ろせるこのアングル…。 い…イイ…。

 200-21.jpg


 しかも何この綺麗な肌。透き通ってるんだが…。しかも何このイイ臭い。クラクラくる件について!! 

 うぉぉ。俺この子とSE○できたら…  死んでもいい!!

 …


 予想外にチズエさんが絶世の美女すぎた件について… というわけで下半身がふくれあがってくる始末。まずい。これはまずい。 すぐに下半身側をホッケー女の方に向けて事なきを得る。そして会話。

財前「このリストの通り授業を受ければ単位を落としにくいよ」

ホッケー女「これ。貸して貰ってイイですか?」

財前「いいよ」

ホッケー女「ホント? ありがとう」


 実はこの作戦にはもう一つ裏の秘密があった。それはこのリスト通り授業を選ぶとそれは私とまったく同じ授業を選ぶことになり… 私が出る全ての授業にチズエさんも出席することになるのである。

 まさに完璧な作戦。


 さて。ここからだ。ここからが重要。「この状況からどう電話番号を聞くか」という事だが、ここまで来ればたやすいこと。

 今回で一番のポイントはファーストコンタクト。この1点だった。これが成功した今、財前ビジョンに死角はない。
 
財前「確かこの単位取得計画書は来週が締め切りだよね」

ホッケー女「そうだよ」

財前「じゃあ来週までに返してくれればいいよ」

ホッケー女「え?いいんですかぁ?」

財前「うん」

ホッケー女「じゃあ来週返しますね」

財前「あ。そういえばどうやって返して貰えばいいかな…?」

ホッケー女「あ。そうですねぇ@@」

財前「全部の授業に出席するとも限らないしなあ。丁度会えないも知れないよね。」



財前「じゃあこうしよう。俺の連絡先教えておくからそこに連絡してくれないかな」

ホッケー女「あ。そうですね」

財前「俺の番号は…0805*453..」


 
説明しよう。私が大学1年生の時代はまだポケベルから携帯電話に移行しようとしていた時代。まだまだ携帯電話は主流ではなく当然メールも主流ではなかった。ゆえに電話番号でも怪しくはないのである。



 私の連絡先は教えたので後はかけてもらうだけ。
 
 しかしこの流れならホッケー女が私の電話にかけてくるようになるがそこは釘を刺しておく。


財前「え~と…」

財前「君(ホッケー女)は部活が忙しそうだから…  じゃあ…」

 そういってチズエさんに視線を合わせる。そして目が合ったところで


財前「君が連絡してくれるかな?」

チズエ「ぇ?」 

財前「単位取得計画書ができたらこの番号に連絡してね」

チズエ「あ… は…はぃ」

 
 いやあ。このホッケー女ホント使えるわ。ホッケー道具授業に持ってきてるからね。部活やってるって誰が見てもわかるからこう言っても怪しまれない。事前調査のたまものである。

 これにてチズエさんの電話番号ゲットと同等。

 後は待ち合わせの連絡が来たときに一度「うん」と返事をし、再度電話をかけて「その日は駄目になった。空いてる日をこっちから連絡する」と連絡、そして再度電話し雑談へ。

 これで後は雑談次第で落ちる。その後は「徳島出身だから東京をあまり知らない。案内して欲しい」で糸冬。

 まさに完璧なる筋書き。

 できすぎだ。 後はデート中にチズエさんの魔性のフェロモンに如何に惑わされず脳を正常に保つか。


 懸念事項はこの一点だけだ。




 …




 

 将来の結婚相手になるかもしれないチズエさんのハート奪回作戦を見事やり遂げた私はさっそうと下宿に帰還。

ワコウ「マジで!? 初対面で電話番号とかどうやって聞くんや!? 信じられへん」

タカシ「なあ。 そのときあのストレートの子もやっぱ一緒にいたんか?」


 どうせ失敗して帰ってくる私を笑ってやろうとでも思ってたのだろう。予想外の展開にワコウとタカシは唖然。しょうがないので負け犬共には「餃子の王将」で焼き肉餃子スペシャルを奢ってやった。

 その後はウィニングイレブンの対戦に勤しみ、その日は終了。

 
 
 …

 
 そして2日後の夜…。運命の電話が鳴り響く。


 トゥルルルルルルルルルルルr   トゥルルルルルルルルルルルr


 ガチャ


財前「はい」

チズエ「あ…」 (←この時点でチズエさんと確信)

財前「どなたですか?」 

チズエ「あの… 単位のリストを借りている者です…」

財前「ああ。     …もう終わりましたか?」

チズエ「はい…。明日大学に来ますか?」

財前「ええ。行きますよ。蔬菜学の授業に出ます」

チズエ「あ。私もそれ出る予定です…」

財前「ではそのときに貰いましょう」

チズエ「はい…」



 ガチャ… ツーツー



 ふ…ふぅ…。 なんとか冷静を装ったがかなり緊張した…。声震えてるし…自分… 電話ごしでも魔性のフェロモンを放出するとはなんて女なんだチズエさん…。

 クックック… しかし電話番号をゲット。ちゃんと着信履歴にでるからねえ。

 034582*5… か。 

 まったくなんてかわいい電話番号なんだ。電話番号からもフェロモンが出てるぜ。

 よし。もしものときのために暗記しておこう。03…

 0359…


 ん? 待てよ… さっき蔬菜学って言わなかったっけ?
 

 し…しまったぁぁぁ!! どうでもいい授業名だして、それをキャンセルして…さらに電話という作戦が…
 
 焦って絶対出席しなきゃなんねぇ授業を言っちまったよ!!



 なんてこった。さすがに必修科目、出席重視の蔬菜学はサボれねえ。 


 しかしチズエさんからリスト受け取ったら私は用無し…。チズエさんとの接点が消える。

 
 やっちまった…


 くそ… どうすべきか…。

 あ~。こんなことならさっき雑談しとくべきだった(笑)。格好つけてすぐ電話切るんじゃなかったよ…。


 まて。まて。考えろ。考えるんだ財前。きっと打開する方法があるはずだ。 
 
  
 
 …




 結局、妙案が浮かばないままリストはそのまま受け取ることになりました。実は受け取るときにいろいろ言おうと作戦を練ってたんですが、チズエさんが私にリスト返すときに

チズエ「あの。リストありがとうございました;;」

チズエ「では」

 って感じで瞬間的に去っていったので財前「あ…」という感じで何も言えずに終了しました(笑)。


 マジでチズエさん手強すぎます(笑)。 普通ね。人から物借りといて一言だけ言ってすぐに去るでしょうか?まったく行動が読めません。 ガードが堅すぎますよ。

 しかも醸し出すオーラも凄いからなれなれしくはとても踏み込めないし…。

 返して貰うときにホッケー女がいれば状況も変わったのかも知れないんですけどね…。

 



 さてしかし…
 
 一応顔なじみにはなったことで学校で話しかけてももう不自然ではない。例えばホッケー女などには

財前「よう。ホッケー。単位の調子はどうだ?」

 みたいな感じで話しかけられられるものの、肝心のチズエさんにはとてもこんな事は言えない。それどころか魔性のパワーが凄すぎて話しかけることすらできない(笑)。


 なぜかホッケー女とだけは親しくなったが、それはホッケーがそういうキャラだから。なんていうかそういう空気なのである。ホッケーは。

 逆にチズエさんとは何の進展もないまま時は流れ…それから数週間が経過したある日
 

 ホッケー女からある誘いが来る。なんと本日はチズエさんの誕生日らしく誕生日会をするらしい。そこに来ないか?と言うのである。

 男は私を含め2名しか呼ばれてない。 …実に不自然である。

 実はこの時呼ばれたのは相当な意味があるだが、このときには知る由もない。今だからこそ書けるが、この時私がこの誕生会に呼ばれた理由が発覚したのは大学4年生の夏。

 なぜ呼ばれたのか? この真相を知るのは実に3年も後の事なのである…。 

 
 →(回想22話


 しかしこの時点では「ラッキー」以外の何物でもない。普通あり得ないだろう。女の子の誕生日会に初対面に近い男が呼ばれるなど。(私を呼んだのはチズエさんではなくホッケー女だが…)
 
 どうやら「チズエさん誕生日会」はホッケー女の家で催されるらしい。 かといって私はホッケー女の家がわからないので道を聞くと、

ホッケー女「大学の近くだから一緒に帰ろ。食材とかの買い物とかもつきあって貰いたいし」


 なんて事になってしまい一緒にホッケー女邸へ向かうことになる。
 
 どうやら普通の料理をするということなので食材を買いに行った。

 その後一緒に食材を買い、ホッケー女宅に帰ると4人の友達が来ていた。そしてみんなで料理をすることになったのだが非常にやりずらい。なんと言っても男が現時点では私しかいないので居場所がない。しかもホッケー女以外誰も知らない(笑)。


 まあ一応タカシの事もあるのでストレート女とは幾度か会話をして「タカシという友達がいる。イイ奴でねえ」なんて複線を貼っておいてやったが…。

 しばらくして…

 ただ突っ立っていてもしょうがないので一人暮らししてるときに練習した八宝菜を作ることにした。しかしこれは「俺が作ったと言うことは絶対チズエさんには内緒」という条件で。不味かったら洒落にならない。
 
 そして数時間後私の他に男がもう1人来るというその男の存在がわかる。

 時間ギリギリに来るのでどんなアホかと思ったが、チズエさんの取り巻き友達のストレート女の彼氏だった。

 もちろんこのストレート女こそがタカシが惚れていた女。もう1人はその彼氏なのである。

 しかしこいつかなりダサイ。ルックス、性格、頭、どれを取っても圧倒的にタカシが上。まあ惰力でつきあってるだけだろう。きっかけがあればすぐ別れるなこりゃ。こりゃタカシにはいい土産ができた。 面白い会話もどうやらナッシングなので長年に渡り一人の女だけしか知らないのだろう。
 
 こういう奴になるからフラレていろいろ経験しといたほうがいいんだ。

 うむ。タカシの勝ち。


 …

 まあここでもなぜ部外者の私が呼ばれたか?という事になるのだがそれは大学4年の記事に書く…。

 料理も完成し、部屋の飾り付け準備も完了。ケーキも準備。後はチズエさんを待つだけだったが…













 
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 律儀な子だ。約束の20分前にやってきた。この辺りで本当に真面目な子なんだなぁという事がわかる。もっと砕けてくれてれば誘いやすいんだが、こう純朴だと本当にやりにくい。

 純粋な子は壊れ物を扱うようになるので苦手なのだ…。

 (注) これは管理人がナンパ女やクラブの女ばかりとつきあってたからです…




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チズエ「うわぁ。ありがと…」




 部屋に入った瞬間周りの女が消し飛ぶような魔性のオーラを放ち続けるチズエさん。


 チズエさん。この誕生日会に俺を誘ったのはアンタなのか? そうなのか? そうだと言ってくれ;;


 いつまでこんなモドカシイ気持ちでいさせるつもりなんだ;;


 そんな私の悲痛な心の叫びは見事にスルーされ、食事が始まる。「これ美味しい」「これ美味しいねえ」盛んに料理を褒める声が挙がるが、八宝菜に関するコメントは誰1人なし。

 …

 やはりこれは口止めしておいて成功だった…。



 食事会も佳境に差し掛かった頃。ホッケー女が叫ぶ

ホッケー女「ではみんなでプレゼント渡しま~す」 

 そのかけ声と共にみんなが一斉にプレゼントを鞄から出す。


 ちょ… ちょっと待て。私はプレゼントなど用意してないぞ?


 しかも見るにプレゼントを持ってないのは私だけだ。ちょ… そんなの聞いてない件について!!


財前「おいホッケー。俺はプレゼントなんか用意してないぞ」

ホッケー女「あ。そうだ。財前君に言うの忘れてたw」

財前「コ…コラ… どうすんだよ」

ホッケー女「え。いいよいいよ~。気にしなくて。私が言わなかったのが悪いねw」

財前「おまえな…」


 みんなプレゼント交換に移る。

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チズエ「ありがとう…」


 チズエさんが申し訳なさそうにプレゼントを貰っている。


財前「あ。俺のはまた後で贈るから」
 

 そうチズエさんには言っておいた。



 …




 そして、この日を境にチズエさんとも大学内でぎこちないながら話をできるようになった私は電話番号を知っていることもあり、いつしかチズエさんとは3日に1回くらい電話をする仲になる。

 だが、デートの誘いについては「その日は空いてないの…」という一声で一蹴され続け、未だに二人きりで会うまでには至っていない。彼女は東京ではなく埼玉に住んでいるので大学に来るのに2時間近くかかる。そういうのもあっての事だろうか。中々時間が合わない。

 私が2時間かけて埼玉に行ってもいいのに;;

 でも純情で気配りのあるチズエさんがそんな事を了承するはずもなかった。


 私はこのデートの時に渡しそびれた誕生日プレゼントを渡そうと思っていた。しかし肝心のデートがすぐにはできそうにない。このままでは時期を逃すのでホッケー女にチズエさんの住所を聞き、プレゼントを郵送することにした。

 確か… アロマテラピーかなんかのセットだったと思う。



 


 この行為が冒頭に書いた「ある事件」を引き起こすことになることを知る由もなく…。














 それから数瞬間が経った。

 プレゼントは確実にチズエさんに届いていたはずだ。しかしチズエさんからは「ありがとう」という言葉がない。しかもあろうことか私を避けているようにすら思える。

 つい最近まで電話をしあった仲なのにプレゼントを贈ってから電話にすら出てくれない。


 なぜだ… なぜだ? どういうことだ一体。 何があったんだチズエさん。


 これは明らかにおかしい。あのプレゼントは「好きです」という意思表示とは受け取られないはずだ。あれはあの時渡しそびれた誕生日プレゼントなのだから。

 妙だ…。 

 それとも私の電話がうざかったのだろうか? 





 そんなある日の事。大学の授業が終わったときにホッケー女が血相を変えて私の元へやってきた。

ホッケー女「財前君最低!! チズエがかわいそうでしょ? 今まで黙ってたけどもう我慢の限界よ! いい加減にやめたら?」

財前「へ…?」

ホッケー女「チズエ凄い精神的に病んでるんだよ? フェアじゃないよそういうやり方」

財前「ちょ…ちょっと待ってくれ。何が?」

ホッケー「まさかあなたが…


















 ストーカーだったなんて!!







 ストーカーだったなんて


 ストーカーだったなんて


 ストーカーだったなんて





















 

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 財前「工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工」 













ストーカー(英 stalker)は、特定の他者に対して執拗につきまとう行為を行なう人間を指し、その行為はストーカー行為あるいはストーキングと呼ばれ、典型的には、特定の異性に対して好意または怨恨を抱いてつきまとい等の行為を繰り返す者のことである。日本では2000年に施行された「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(いわゆるストーカー規制法)により、ストーカー行為は犯罪と定められている。












財前「ちょ…待てよ!!ホッケー。 何がどうなってるのよ一体」

ホッケー女「ホッケーとか気安く呼ばないでよ!」

財前「え。だって今までそう呼んで…」

ホッケー女「なんかチズエ…もう家に帰るのも恐いからって私の家に最近泊まってるのよ?」

財前「何!?」

ホッケー女「あなたがチズエの埼玉の実家までストーキングしてるからこうなるんでしょ!!」

財前「え…」




 え?




あなたがチズエの埼玉の実家までストーキングしてるからこうなるんでしょ!!
 あなたがチズエの埼玉の実家までストーキングしてるからこうなるんでしょ!! 
  あなたがチズエの埼玉の実家までストーキングしてるからこうなるんでしょ!!
   あなたがチズエの埼玉の実家までストーキングしてるからこうなるんでしょ!!











 つまりあながストーカーでしょ!! 



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 なんなんだその結論は!?


財前「お前ちょっとまてコラ! 俺はストーキングとかしてねえよ!」

ホッケー「嘘ばっか。チズエがそう言ってるのよ?」

財前「何!?チズエさんがそう言っているだと!?」

ホッケー「そうよ」

財前「まさか… なぜだ…」

ホッケー「いい加減ストーカーしてましたって白状すれば!?」



 こいつ声がでかい…。教室のみんなが聞いてるだろ… 



財前「おいちょっと待ってくれよ。落ち着け。それマジの話なのか?」

ホッケー「当然よ。あ…」

 
 ホッケー女もようやく自分の声がでかすぎることに気づいたらしい。しかもここは教室。

 とりあえず場所を変えることになった…。






 …




 場所を変えて…


 私は必死にホッケー女に弁解する。そりゃそうである。私はチズエさんをストーキングなどしてないのだから。明らかな誤解だ。


 とりあえずこれまでの事を説明。


財前「…というわけだ。俺は確かに誕生日プレゼントは贈ったが埼玉のチズエさんの家など行ったことがない」


ホッケー女「チズエの住所を教えたのは大学であなただけ。それも渡しそびれた誕生日プレゼントを贈るって言うから教えたの。 そこから数日経ってストーカーが現れた。しかも背が高くて細身の男。 顔もあなたっぽかったらしいし。あなたしかいないわ」

財前「ん!? まてよ… てことはマジでチズエさんはストーキングされてるって事になるな」

ホッケー女「だからあなたでしょ!!」


 …駄目だコイツ。まったく聞き分けがない。状況も考えようとしない。確かに状況を考えるとストーキング疑惑をかけられるとすれば私かもしれない。

 ①財前:プレゼントを郵送するためホッケー女にチズエさんの住所を聞く
 ②財前:プレゼンとを贈る
 ③??:ストーカー出現
 ④財前:チズエさんに頻繁に電話


 確かにこうも事項が重なっては疑われるのはむりもない

 ??には私がはいるのが妥当だろう。

 だがあまりにも女は感情的すぎる。確証もないのになぜこんなことをハッキリと決めつけられるのか。

 第一私はストーキングなどしてないのだから。チズエさんの家すら行ったこともないし、下校をつけたこともない。


ホッケー女「証拠をつきとめるからね。写真取れば一発なんだから。もうやめたほうがいいよ」

財前「だから俺じゃないと言ってるだろう…」


 だがホッケー女の表情は以前強ばったまま。駄目だ。コイツ。

 なんであまり知らない者の事をここまで疑うんだ。



財前「もういい。お前とじゃラチがあかない。黙ってろ。俺はもう帰る。」

ホッケー女「いいわよ。チズエのストーキングやめるまで学内でいいふらしてやるんだから。」

 

 そうしてその場は終わった。

 だがホッケー女の怨念はすさまじく、その人脈を活かし学内でしゃべりまくってる模様。


 そうこうして日が経つにつれ

 学内では私がストーカーという噂が広まっているようだ。


 だがどうしようもない。

 まずチズエさんのストーカーを調べようにも私には無理だ。第一調べるためにチズエさんの家まで行ったらそれこそ本当にストーカーだ。しかもほとんど知り合いもいない大学。私の素性を知っている人などほとんどいない。仮に「俺はストーカーじゃない」なんて主張しようものならさらに怪しいではないか。

 私にとっては知らない250人の学科の学生。だが250人の学生にとっては財前=ストーカーと認識されているこの状況。

 一体どうしろと;;

 しかも応援団に一時入団というのがまた足を引っ張った。普通応援団なんて入らない。そりゃ怪しい。

 この事実がストーカー疑惑を確証へ導くことを容易とした。しかも私は学内に行くときはファッションスーツを着込んでいっていた上に上背があるので目立ちやすかったのも災いしたのだろう…。自分では認識してなかったが結構目立ってたらしい。

 
 いつの間にか全てが起因し、私はストーカーという名にふさわしい人物となっていた。


 これでは誰も疑うのも当然だろう。


 徳島から出てきたタダの田舎者がここ東京でいきなりストーカー…か。


 なんて恐ろしい所なんだ東京は。田舎なら絶対こうはならない。



 こ…これは…



 もうどうしようもない…。




 この状況ではチズエさんにアプローチをかけることもできず、電話することもできず… 



 時は過ぎていった。


 すでに学内のみんなはすっかり私を避けるようになってしまった。話しかけてくれるのは事情を知ってるタカシとワコウだけである。

 
 … 大変辛い時期だったことはまだ記憶に新しい。



 ていうかこれはイジメだろう?



 精神的に病んでもおかしくないぞ。この仕打ちは。何もしてないのに…。






 私は無罪だ。













 …





 しかし物事にはなんでも裏側がある。この最悪な状況下で知らぬうちに一筋の光明が差し込もうとしていた。


 チズエは諦めざるを得なかった。しかしである。タカシ、ワコウを筆頭に学内では徐々に男友達が出来てきていた。大学から下宿が近い利点もあり、私の下宿はいつしか男の溜まり場と貸していた。今でも交友のあるかけがえのない友人はこの時に出来たもの。


 なぜこういう状況になったかというと、やはりストーカー疑惑が大きかった…。普通ならもう終わりだったのだが、1ヶ月も経てば主流の話題ではなくなる。幸いチズエさんに対するストーカーもいなくなったようで話題に上ることもすくなかった(相変わらずチズエさんグループとは険悪だけど;;)

 しかしこの事件をきっかけにほとんどの学生が私の存在を知ったことで「あの…君…例の人だよねw」という風に話しかけられ、それをきっかけにそいつらを下宿へと引きずり込み、酒を飲みながら真実を話す。自分でいうのもなんだがこの人生だ。

 ネタばかりである。話せば私の背景がしっかりし、ストーカーと疑われる事もギャグとしてみんな納得してくれた。

 なぜかホイホイと友達ができていった。

 しかもほとんど向こうは私を知ってるわけだからうち解けるのも早い。


 仲良くなる連れ「なんだおまえそういう奴だったのか」という具合でかなりやりやすかった。


 友が増えればあとは比例的に爆発的に知り合いが増えていく。大学はもともと人数が多いんだから…。

 こうして友達が周りに増える毎に気安く「よおストーカーw」(←もちろんギャグで)なんて呼ばれるようになり、それが周りの興味をそそったりして…

 1年の12月が来る頃には充分な数の男友達が確保できていたのである。




 まさに災い転じて福となす。




 絶世の美女のチズエさんを逃したのはかなり傷手だが… まだこの12月時点では諦めてはいなかった。皆と酒を飲んだりつきあったりするうちに「コイツはストーカーするような奴じゃないなw」という認識が広まってきたからだ。

 そりゃそうである。東京のナンパの名所にナンパに連れて行ったりしてたからね。そんな奴がこそこそストーカーするわけがない(笑)。


 皆話せばわかるのである。



 わからないのは関わってない者だけ。


 こうやって交友を深め、友を作っていけばいつしかチズエさんも気づくだろう。


 それが心の支えとなっていた。目標だぅた。


 もちろん250人全員と関わることなど不可能だが、主要人物はだいたい知り合い。もう大学生活には何の支障はなくなっていた。チズエさんグループにかんしては相変わらずだが…。


 それでもチズエさんの事は諦めようと努力はしていた。

 ここは東京だ。他にも美女はいくらでもいる。

 女に関してはナンパ、コンパなど友達ができた今ではいくらでもやりようがあった。なんでも来いである。話すネタはいくらでもあったし、女をものにする修行を先輩から高校3年生の時に学んだのだから。

 それが幸いし女の絶対数が多い東京では正直女関係はやりたい放題だった。ハッキリ言って田舎よりチョロイ。すぐヤレたし、そういう者を受け入れる広い土壌があるのだ。ここは。

 チズエという重荷が外れた事で心の鍵も解けていた。女なら誰でも良かったし、ほとんどがうまくいった。


 一楽木工の先輩から伝授された女口説き必勝テクの勝率はそれほど高かったのである。
 




 しかし…



 しかし…



 しかし…



 これだけ人がいる東京で… どれだけ他の女と関係を持っても…



 満たされなかった。 なぜかいつもチズエさんの残映が出てきて胸をえぐる。


 やはり特別な存在なのだ。忘れられる女ではない。


 この世には決して忘れられない女もいるのだ。


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 実際

 それを証明するかの如く…チズエが脳裏に現れる。仲間と遊んでるときや他の女といるときは現れないが、一人になると常にチズエさんが脳裏に現れた。どうしても忘れることができなかった。

 仲間にそれを言っても「女なんて別れれば終わり。男友達は一生物だ。だいいちおまえ女には不自由してねえじゃねえかw」

 と笑い飛ばされまじめに聞いてくれない。 普段の行動も原因なのだろう…。



 でも…


 チズエさんの幻影はだんだんと大きくなり、いつしか…

 ナンパしてもクラブ女をもさぐっても罪悪感を感じるようになっていた…


 これでいいのか?俺は 等と思うようになっていた。これでいいのに。



 なぜだ。なぜだ。もうチズエは関係ないはずだ。俺がなにをしようと… 君には関係ないだろう。 なぜチズエが出てくる…。


 第一チズエとはもう修復不能なのだ。修復するにしてもこれには時間がかかる。今動くのは得策ではない。



 だが…

 確かにどこかで期待していた。いつしか… 疑惑が解けるのを。

 
 前の関係に戻ることを… 
 

 ゆえに女とは関係は持っても「つきあう」ことは絶対しなかった。


 無駄なあがきなのはわかっていたが。



 …



 だがいつまでもこうしてはいられない。これじゃあいつまでたってもチズエから逃れられない。



 よし



 何か… 何か… 


 別の何かに打ち込んで忘れよう…。何か一生懸命になれるものはないかな…。


 それを探している内に大学は冬休みに入った。




















 

 次回「バイク免許所得の先に…」

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 今日の関連曲

 長渕剛  Captain of the Ship

 






 PS

 すいません。先週書くとかイイながら公開が今週になっちゃいましたね。でもですね。一応先週に書き始めたんですよ? 意外に長文になったので3日かかったというわけで…。

 恐らくこれを一日で読み切れる人はほとんどいないでしょうね。いやそりゃ一気に読んでくれてたらうれしいんですけどね。



 長くなってすいません。まあ大学時代の友達も見てるかもしれないので大変だったんですよね(笑)。でもこんだけ書いてきてまだ1年の12月ってどんだけ~!?

 なんかネタだらけですが、全然実話です。本当にこれあった話なんです。驚くでしょ? ただ、登場人物の名前は偽名にしてます。



 今回の記事に関してはできるだけコメントいただけるとうれしいなぁ。


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